ノラと皇女と野良猫ハート パトリシアルート 感想 考察その3
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
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3.物語後半
パトリシアの心臓はノラとの恋により動き出し、パトリシアは「命があるもの」として地上でいきることになります。
胸の音が鳴り出した後のパトリシアは地上の世界が目まぐるしく変わったもののように見えはじめます。
その姿はみているこちらもうれしくなってくるほどです。
しかし、命をもつパトリシアは冥界に帰ることができなくなってしまいます。
もちろんそのことを姉妹や母がよく思わないのも当然のことです。
姉妹、母たちは躍起になってパトリシアを冥界に取り戻そうとします。
その方法は「彼女の胸の音を止める」こと、つまり殺すということです。
パトリシアは一度姉に胸を刺されたとき「なんて気持ち悪い世界なの」と言っています。
冥界の者にとって私たちの世界がどう見えているのか、想像するのは難しいです。
私たちに置き換えてみると周りが死にまつわるもので囲まれているといった状況なのでしょうか。
線香、どくろ、棺桶、墓標、死臭。
それらに常に囲まれ、身にまとわりつき、服に染み付く。
そんなことを想像すると彼女たちがいかに地上の世界を見ていたのかが少し想像できます。
しかし、ノラを見るたび、その胸の音は鳴り出します。
見ただけで何度もドキドキするというのは彼女がどれだけノラに思いを寄せているのかが見て取れるところですね。
それを阻止しようと幾度となく胸の音を止めようとする姉。
二度も刺されたパトリシアは流石に自分が姉に殺されているということに気が付きます。
しかしパトリシアは怒りません。
普通何度もあの気持ち悪い世界に引き込まれ、キツイ思いをしているのであれば少しは怒るのも当然のように思えますが、彼女は優しく、賢く、冷静で、人の気持ちがよくわかるのでしょう。
姉が引き戻そうとする気持ちを理解し、それでもノラが好き。
この命がある体というものを知ってほしい。という一心で
どうすれば姉に理解してもらえるのかを考えます。
その方法がHで解決!!!!!
うーん・・・ズッコンバッコン大騒ぎ!w
まあエロゲ―だしいいんじゃないですかね?
実際のところは主人公が懐柔してから…という流れですし、なんの問題もないです。
しかしこの姉妹の関係、非常に考えさせられるものがあります。
姉のルーシアは幼いころパトリシアを守り、そのせいで自分の実力が出せない体になってしまいます。
しかし、ルーシアはそれでいいと本気で思っています。
「しかしあの子は私には無いものを持っている」
「それは魔力とはまた違った力だ」
「見えない力をあの子は持っている」
と、笑顔で言います。
本当に自分の妹を皇女にしたい、守りたいと思っているのでしょう。
それゆえに大切な妹、必死になって取り戻そうとする気持ちも理解できます。
この姉妹の関係性というのは非常に良いと思います。
これだけでレビューが一つ書けるくらいかもしれません。
2では攻略ヒロインとして登場します。
まだやっていないのですが1をやっただけでも相当気になるキャラなのでぜひ早くプレイしてみたいところですね。
この姉妹に関してももっと語りたいことはありますがそれはまた2のレビューの機会があれば・・・
話もそれましたので元に戻します。
なんとか姉妹、母を説得することに成功しますが、
ここから物語はまた違った展開へと進んでいきます・・・
4.物語結末
非常にポエムが多用されるシナリオでした。
別に悪い意味ではありません。
物語の深みを与えるものだったと思います。
ただ自分の物語の読解能力が低いので何度もよみ返す必要がありました。
物語後半は「物語の急な展開」が起こります。
全ルートを攻略済みですので言えることですが、
ノラととの中でパトリシアルートが一番力の入ったシナリオでした。
評価は分かれると思いますが私は好きです。
悲劇でもあり、喜劇でもある恋愛模様。
パトリシアに命が生まれた。
それはあってはならない命。
その代わりに、一つ差し引く。
ノラの「胸の音」は次第に弱くなっていきます。
しかしノラはその運命に抗い、
冥界で名を馳せ、
その理を崩すことを決意します。
ノラはなにも言わずパトリシアの元を去ろうとしますが最後にパトリシアに呼び止められます。
行くのを止めようとするパトリシアですが、決心を揺るがすことがないノラを見て、それ以上は止めようとはしません。
その時、彼女は詠唱を始めます。
魔法の詠唱というのは基本ダサいのは仕方ないですがこの時の詠唱はなにか心揺さぶられるものがあります。
その魔法は滅びの魔法。
パトリシアが冥界で習得したと言われる見たもの全てに死をもたらす魔法です。
この時に流れているBGM「月」が滅びの魔法の一節だということには皆さん気がつきましたでしょうか。
こういうBGMの演出もノラととの良いところの一つです。
しかし滅びの魔法を唱えたということはノラは命を落としてしまうということでしょう。
滅びの魔法を唱えたところ、
満開の月が姿を表します。
その時、彼女は言います。
「ノラ月がきれいね」
「月がきれいというのはあなたを愛しているのだと、そういう意味なのだと」
「どうして月がきれいだと、あいしているになるのか」
「私も、わかりそう」
ここの部分は深く考えました。
なぜ彼女はこの言葉を発したのだろうかと。
言わずと知れた夏目漱石が「I love you.」を「月がきれいですね。」と訳したところからの引用ですね。
理系かつ文学的知識がない私ですが、これは日本人らしく奥ゆかしい文学的表現として使われているものだと理解しています。
ですがここでただ単に奥ゆかしさという意味だけで使われているのでしょうか。
パトリシアは言語どころか世界も異なる冥界の住人です。
その彼女はこの言葉をどのように解釈したのでしょうか。
私はこの時、パトリシアが「言わなくてもわかりあえる関係」と言うものを理解したのではないかと考えました。
パトリシアは彼が何をするのか、どう考えているのかもわかっていたのでしょう。
彼女もノラを止めに来てはいますが最初から本気で止める気はなかったと思います。
二人の間には言わなくてもわかる関係と言うものが出来上がっているのではないでしょうか。
彼女にとっては「滅びの魔法」が「月がきれいですね」だったのかもしれません。
滅びの魔法を唱え、彼の命を奪い、彼の理想に寄り添うことが彼女自身が伝える最大限の「I love you.」です。
彼女は非常に強い人間です。
冥界の時間の流れと地上の時間の流れは違うようで、この後、彼にどんなことが待ち構えているのか。
冥界皇女になる彼女にはそれが分かっているのでしょう。
やっとの想いで1000年の旅から帰ってきた彼に対して、彼女は温かい言葉で迎え入れました。
深読みに深読みを重ねたシナリオ考察でした。ミスリード等あると思いますが、別に感動したもの勝ちかなーと思っています。
以上がシナリオを含めたパトリシアルートのレビュー、及び考察です。
シナリオに沿ってレビューをしていたのですが、私個人が一番パトリシアというキャラクターに惹かれた部分は他のところにあります。
それはパトリシアが命を持ち始め、子供たちと一緒に勉強をする場面での話です。
冥界からきたパトリシアは九九を勉強していました。
しかし、一緒に勉強していた子供たちからバカにされてしまいます。
そんな子供たちに対して、ただ「がんばるわ」と言いました。
これは並大抵のキャラにできることではないですよ・・・
彼女はいつか絶対にできるようになる、だから気にしないのだと言います。
明るく常に進み続ける。
知らないことを知っていく。
そんな彼女がとても素敵に見えました。
最後に、エロゲ―らしからぬエロ一切なしのレビューをしてしまいました大変申し訳ございませんということでパトリシアちゃんのエッチなポイントを発表させていただきます。
- おっぱいがえっち
- おしりがえっち
- 色白でキレイな肌
- 下着がえっち
- 常に頭の中がえっちな思想
とまあこんなところでしょうか。
以上でパトリシアルートのレビューを終わりとさせていただきたいと思います。
随分と長い文章になってしまいました。
今の時点で5700字を超えようとしています。
パトリシアルート自体が重厚なつくりになっていますので仕方がないですね。
次のレビューは明日原ユウキちゃんを予定しています。
いつになるかはわかりませんが、追々更新していこうと思います。
ここまで見ていただき、ありがとうございました。
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