オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part2
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
↓前回の記事
秘密を打ち明けずにひなたを受け入れてしまった湊。
前回の記事で私は肯定こそしていましたが、明らかにこれは異常です。
湊は風莉からの説教もあり、その秘密をひなたに打ち明けます。
湊「じっ、実はボクっ!男の子なんですっ!!!」
ひなた「・・・?」
中々納得してもらえない湊、まあ当然ですけどね・・・
湊「ああもうっ!これっ、見てください・・・!」
ひなた「お、お姉さまっ?何してるのだ?」
湊「こ、ここっ!触ってみてください・・・!」
ひなた「も、もぉぉ~~♪やっぱりそういうことしたいんだ?ホントお姉さまってばまわりくどいんだからぁ♪」
ひなた「え、えっと・・・」
「ほんとに、おお、オトコ・・・?」
驚いて逃げ出してしまったひなた。
そのことで、湊はひなたに嫌われたのだと判断しました。
実際のところどうなんでしょうね・・・好きな人の性別が違ったという状況になったことがないのでわかりませんけど・・・
うーーーーーん・・・
そんなこんなあったわけですが
その夜、湊が入浴中にひなたが突然浴室に入ってこういいました。
ひなた「今まで黙っていたことは、ちょっと怒ってるのだ。でもよく考えたら仕方ないかなって気もしたのだ」
「とはいえ、もっと早く言ってほしかったのだ。そしたら、女の子同士なのに~とか悩まなくても済んだのに」
湊「すみませんでした・・・」
「えっ?あの、ひなたさん・・・?」
「つまり、ボクが男でも・・・いいんですか?」
ひなた「女の子だから好きになったんじゃないもん・・・。ひなたはお姉様を好きになったんだもん」
あぁ^~~~可愛いですねえ^~
更に賢いですね!非常に利口!
湊に事情があることも理解するひなたちゃんえらいなぁ~
余談はさておき、もちろんひなたは湊という人間を好きになったということにも要因はあると思いますが、一番の要因は自分自身も性別の違いに関して悩んでいたことにあると思います。
この二人は一度だけでも性別の違いというものに悩まされている人間だからこそ共感できてしまうところがあるんですよね。
そうでなければ・・・ここまでスムーズに話はすすまないはずですよ。
ありのままの自分を受け入れてもらえた湊。
こうして二人は本当に分かり合えた関係として結ばれたのでした。
ひなたはその後でこう語ります
ひなた「ほんとはね・・・?旦那様がいてくれて、子供もたくさんいて・・・そういう将来、憧れてたの」
「女の子同士じゃ、普通の家族にはなれないなーって、ちょっぴり寂しかったから・・・だから、ね?」
「お姉さまが男の子で、よかったのだ♪」
これ仲直りえっちの最後の台詞なんですけどね?
やっぱりね、最初に言ったと思いますがこの作品はえっちシーンの台詞も侮れないんですよ。
賢者モードでしっかり見てなかったニキは今すぐじっくり見返してくれ。
この後に続く湊の誓いの台詞もめちゃくちゃ良いんだから。
ここで一つ疑問に思うことがあります。
ここまでのお話で出てきたことですが、ひなたは湊が来るまでとても暗い女の子だったそうです。
今のひなたを見ると、とても想像できないですね。
しかし、これまでのコミュニケーションなどを見てもひなたは一般的な感性や考え方、感受性を持っているようです。
そうであれば、なぜひなたはここまで「東方将軍」でいることにこだわり続けているか。
それは次第に紐解けていきます。
ある日、湊はひなたの違った一面を目にします。
それはいつものひなたとは全く違った、お嬢様のひなたの姿。
礼儀、作法、言葉遣い。その全てが上品で完璧なお嬢様として振る舞うひなたの姿でした。
それを見た湊はその姿もいいと肯定しますが、ひなたはその自分を「偽物のひなた」と言い張り、否定しました。
しかし、その後に湊は今後の学校生活も見据えて普段はお嬢様モードで過ごすことを提案します。
そこでひなたは今までの自分のお話を始めました。
ひなたがなぜ今のような姿になったのか、
ひなたは地元の学校の友達にラノベやゲームやそういう世界を教えてくれたそうです。
ひなた「んふふっ♪二人に出会って、ひなたの世界は変わったのだ」
「二人に出会うまで、楽しいことなんて一つもなかったから・・・」
「ひなたは、お人形だったのだ」
「お金持ちのお嬢様に生まれて、綺麗なドレスを着せられて、可愛い可愛いって褒められて・・・たくさんの、色んな人に撫でてもらって」
「・・・それが、ひなたのお仕事だったのだ」
「パパとママが、自慢の子供でいてねって言うから。ずっとずっと、礼儀正しいお嬢様だったのだ」
「ずっとずっと、自慢のお人形だったのだ」
湊「お人形は・・・楽しくなかった・・・ですか?」
ひなた「楽しいわけないのだ。毎日、言われたことをしてるだけ。空っぽで、退屈で、楽しくないのに笑ってて、何もかも嘘だらけで・・・」
「本当のひなたはこうじゃないって、ずっと思ってた。でも、他にどうすればいいのか、わからなかったのだ」
そんなとき、ひなたと二人は出会ったようで、
それがひなたには気に入り、友達になったそうです。
「ひなたは、お人形以外の何かになりたかった」
「だから、新たな人格が降臨して・・・願いが叶ったのだ♪」
ひなたにとって中二病は自我の芽生えそのものだったと
それを聞いて湊はなぜひなたがお嬢様のように過ごすことを嫌がるのか理解し、もう二度と言わないことを誓いました。
そんな話もあってか、ひなたは久しぶりに昔の中二病仲間と連絡を取ることにしました。
・・・
しかし、連絡を取って会った二人は中二病を卒業しており・・・
ひなたは帰って来てからぼんやりと裸でベッドに座り込んでいました。
ひなた「・・・着る服が、ないのだ」
「二人とも、普通の女の子だったのだ・・・」
「忠告まで、してもらっちゃったの。もうやめた方がいいよ・・・って。その方がひなたんのためだからって」
「わかってるの。本当に、ちゃんと分かってたの。恥ずかしいことだって・・・バカにしか見えないって・・・えへへ・・・」
「ひなたも、そろそろ・・・大人にならないと、だよね?大人は、魔法を信じたりしないよね?」
「魔王軍は、解散なのだ・・・。ばんざーい・・・」
そして、ひなたさんもまた──
中二病からの卒業を、宣言した。
きっとそれは、いつか必ず訪れるはずの瞬間だった。
・・・だから僕も、反対はできなかったのだ。
・・・
そして翌日から、ひなたはお嬢様のように暮らし始めるのでした・・・
ここまでがpart2とさせていただきます。
まずは最後の部分ですが、ひなたにとって昔の友達が中二病を卒業していたことはそこまで傷ついてしまうことなのかという点についてです。
これはひなたちゃんの過去があるからこその感情だと思います。
私はひなたちゃんの過去の話を聞いて
「ひなたちゃんは常識のある赤ちゃんみたいな存在」
だと思いました。
前の学校ということですから3歳の赤ちゃんくらいですかね。
ひなたにとって中二病は自我の芽生えである~というのがあったと思いますが、つまりはひなた自身が意志をもって行動し始めたのはここ最近というわけです。そういう点から私は赤ちゃんと言ったんですよ。
そしてそのきっかけになったのは紛れもなく友人二人だったわけですね。
ひなたちゃんにとって二人は友達であるのは間違いありませんが、ある種目覚めさせてくれた親のような存在でもあると思うんですよね。
正確には友人二人が、というよりはその世界が、ですけどね。
しかし、その世界が二人の中二病とともに崩れ去った。
そんな感覚だと思います。
そして一番ここまで追い込んでしまったのは、ひなた自身はまともな感性を持ち合わせてるってことにもあるんですよね・・・
ずっとおかしい、恥ずかしいとわかっていながら中二病を続けていた。
それは他に自分だと思える人格がなかったから。
では最後に今回の問題のポイントをまとめます
問題は「ひなたがまたお嬢様のように暮らし始めた」ということです。
ポイントは
・今までの中二病のひなたに比べれば格段に社会に適応しており、ひなたの言う通り「大人になった」と言えば理解される振る舞いであるということ
・それをひなた自身が十分に理解していること
・お嬢様モードのひなたは完璧な女の子であるということ
の三点くらいですかね。
この問題を湊が解決するところから次回の記事で書いていこうと思います。
ここまで見てくださりありがとうございました!次の記事も見ていただけると嬉しいです!
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オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part1
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
オトメ*ドメイン二番目の攻略ヒロインは
大垣ひなたちゃんです。
共通ルートが終わり、ひなたは誕生日プレゼントとして湊に携帯ゲーム機を送ります。
それはひなた自身の趣味でしたが、共通ルートの時点で湊がこのような趣味にも興味があるとわかっていてプレゼントしたのでしょう。
その一番の目的はやはり、一緒に遊びたかったから。
湊が部屋に戻って少し経ってからひなたが湊の部屋を訪ねました。
ひなた「あ、あのね・・・?大したことじゃないんだけど」
「これ、一緒に遊びたいなって・・・思って」
湊は快くひなたのお願いを受け入れます。すると・・・
「あれ・・・、あはは、ひなた、どーして泣いてるのかな・・・」
ひなたはたまらず涙を流します。
これはもちろん自分の趣味があう人と遊ぶことができるというニュアンスもあるとは思いますが、それ以上にここで感じるのは安心、ですね。
もしかしたらいなくなっていたかもしれない存在。
その湊とまたこうして話すことができて、一緒に遊んでくれる。そのことが嬉しくてたまらなかったのだと思います。
さらにもう少し深読みするのであれば・・・自分が湊に対して何もできなかった無力感というものもあるかもしれませんね。
ひなたにとって湊はそこまで大切な人間になっていたわけです。
この学園で過ごす上では唯一の理解者と言ってもいいかもしれません。
そのことは湊にとってはとてもうれしいことで、自分を必要としてくれる存在は自分のいる意味を確認できるとても大切な人になるのでした・・・
・・・
それから、湊とひなたは共通の趣味を介して仲良く過ごすことになります。
ここからがヒロインひなたの真骨頂!
年下の幼いロリボイス!好きなことにはまっしぐら!根が良い子だからすぐ中二病が解けてしまう!
こんな甘々な年下ヒロイン、好きにならないわけがないんだよなあ!
まあ・・・やった人ならわかるでしょう・・・
自分は今まで年下ヒロインにはあまり惹かれなかったんですが・・・このひなたちゃんの持つパワーは恐ろしいですね・・・
ヒロインに順位をつけるのはナンセンスではありますが、一人選べと言われれば迷わずこの娘を選びます。
つまりは!ひなたルートの序盤はただ可愛いが詰まってるだけで説明不要ってことですよ。
そんなふうに毎日仲良く過ごしていった湊とひなた。
次第にひなたは湊に惹かれていきます。
これは湊と趣味が合うということも大きいと思いますが、共通ルートでひなたを助けたことの方が大きいでしょう。
ひなたにとって湊はあこがれの存在。強くて、カッコよくて、何でもできる。
そんな湊が趣味もあって、困った顔一つせず、楽しく一緒に過ごしていくことでその魅力にどんどん惹かれていったのだと思います。
しかし、一番の問題点がひなたが湊のことを女の子だと認識していることでした。
そんな中、湊は担任の先生にひなたが学校で孤立していると話を持ち掛けられます。
そして湊にそれをどうにかしてほしいとお願いされてしまいました。
湊自身もそのことは気になるようで、ひなたに真面目な話し合いをします。
ひなたは周りの環境が嫌なわけではなく、湊のところへ行きたいからいっているのだと訴えかけますが、湊も自分のクラスで居場所を作ってほしいという気持ちで少し突き放して自分のクラスで生活するように言いました。
しかし、そんなことを言ってしまったことを湊はすぐに後悔してしまいます。
もう入学してから1カ月半は経ったくらいだと思います。
すでに教室内のコミュニティができあがり、会話に入りづらい環境。
そんな彼女にただ突き放すだけで何もしてやれない自分がいて、
そして最初からそれを言ってあげられなかったことを反省します。
そこで湊がとった行動が・・・
湊「あのっ!魔王軍に、ボクを加えてくださいっ!!」
湊としてはひなたにこのままでいて欲しくはない、クラスに自分の居場所を作ってほしい。しかし、そこで自分ができることはなにか考えた上で湊がひなたの心の支えになることを選んだのだと思います。
しかし、これは湊がひなたに心の距離を寄せる初めての瞬間でした。
湊は今までの話を見ても基本的に受け身であることが多く、自分から心の距離を踏み込んで行動することは多くありませんでした。それは身内がおらず距離を詰めることに躊躇いがあるなどの理由があると思います。
しかし、だからこそ、湊が距離を詰めるということはひなたへの気持ちが動いている表れでしょう。
それは結果的にひなたちゃんの気持ちを加速させていきます。
そして、その気持ちが恋であるということも理解します。
しかし、ひなたは湊のことを女の子だと認識しているので現実でそんな気持ちを伝えてしまったら嫌われると思い、自分の気持ちを隠そうと思うのですが・・・
それとは裏腹に抑えきれない気持ち。
このあたりの感情の動きが非常に艶めかしくて、ドキドキしてしまいます。
今までと変わらない距離で接する湊に、ついにひなたは・・・
ひなた「お姉さま・・・」
「あの・・・ね?魔王軍に入るには、契約の儀式が必要なの」
「儀式・・・してもいい?」
「動かないで・・・ね?ひなたが、するから・・・」
湊「キスが、契約の儀式・・・ですか?」
「それだけ・・・ですか?」
「他の意味はないって、思うべきですか・・・?」
ひなた「・・・違う、のだ」
「す、好きっ・・・なの・・・」
「お姉さまが好き・・・恋愛って意味で、大好きなのっ」
湊「・・・でも、女の子同士ですよ?」
ひなた「わ、分かってる・・・けどっ!でもねっ?お姉さまの側にいると、ドキドキするの・・・顔が熱くなっちゃうの・・・」
「これって、風邪とかじゃないよね・・・?絶対、お姉さまが原因だもんっ!病気は病気でも、恋の病・・・だよね?」
「あは・・・、やっぱり、変だよね?女の子同士で、こんなの・・・気持ち悪いよね?」
湊「それは・・・」
ひなた「ご、ごめんね・・・?こんなの、迷惑っ・・・だよね?でも、どうしてもっ・・・、告白、したくて・・・」
「嫌だったらっ、いいっ・・・からね?振られても、平気だし・・・、嫌われても・・・仕方がない・・・から」
結論なんて、一つきりだった。
僕はひなたさんを哀しませたくない。
それ以前に、断りたいなんて気持ちが欠片も浮かばない。
湊「・・・ボクも、好きです」
ごく自然に、唇がその言葉を紡ぎだした。
「ひなたさんのこと、好きです・・・女の子同士でも」
ひなた「嘘、ついてない・・・?無理してない・・・?」
湊「本当ですよ。ボクは・・・女の子が好きなんです」
ひなた「あ、あは・・・、じゃあ本当に?お姉さま、女の子が好きなのだ・・・?」
湊「正確には、ひなたさんは好きなんです。好きになった人が、たまたま女の子だったんです」
ひなた「そ、そっか・・・、うん、ひなたもそんな感じ・・・」
湊「ふふっ、ボク達、相思相愛ですね・・・?」
ひなた「うんっ♪」
こんな幸せそうなひなたさんを、僕は初めて見る。
今の微笑みを、ほんの少しでも曇らせたくなかった。
だから、彼女の気持ちの全部を受け止めたくて──
ひなた「あの、お姉さま・・・もう一回、儀式してもいい?」
湊「・・・もちろん」
ひなた「今度は、恋人の契約・・・なのだ・・・」
・・・
以上がひなたルートの告白シーンまでのお話でした。
このシーンを見て何ともむず痒いなあと感じる人は多いですよね。
かく言う私もむず痒く感じる一人なのですが、湊の考えていることからすればこの行動は正解、なんですよね。
選択肢はたくさんあったはずです。
・男であることを告白し、受け入れる。
・男であることを告白し、断る。
・男であることを告白し、考え直してもらう。
・男であることを隠し、断る。
・少し考える時間をもらう。
しかし、そんな中で
・男であることを隠し、受け入れる。
という選択は、同じ性別を持つ人とわかっていながら告白してきたひなたに対しての最大限の配慮だと思います。
この選択が、ひなたにとって一番よい結果をもたらす選択だったんですよね。
ただし、その場限りの話ですが・・・
その代わりに、湊自身問題ができてしまいました。
男であるということを隠して恋人になってしまったこと。
ひなたは女の子である湊に告白をしました。
それが実は男だったら・・・
彼の優しさであり、弱さでもあると思います。
相手の気持ちや問題を受け止めて、自分の問題にしてしまいました。
前から思っていたんですが既プレイ向けの人に書いているんですから次はどうなっていくのでしょうかみたいな言葉はいらないですよね。
ここまで見ていただきありがとうございました。
次の展開の考察も見ていただけるとありがたいです。
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オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part3
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
前回の記事↓
前回のあらすじ
無事二人の思いが実り付き合い始めた湊と柚子。
しかし柚子はもう一人のヒロイン、風莉が湊のことを好きだと気が付いてしまう。
柚子は風莉の方が湊に相応しいと思い、
その思いを誰にも告げず湊に別れを切り出す。
・・・
別れを切り出された湊は一人部屋にこもってしまいます。
そこに帰ってきた風莉さん。
柚子から話を聞いて真実を聞こうと湊のところへ駆けつけたようです。
風莉「湊は一人なんかじゃないわ・・・。あなたには、私がついているもの」
湊「やめてください・・・すがりたくなってしまいます。」
風莉「そう・・・ね。卑怯だわ・・・こんな言い方は」
風莉はずっと柚子を近くで見ていたからこそ、
柚子が本当に湊のことを好きである。
と湊に伝えます。
湊「・・・もしかしたらそうなのかもしれません」
「でも、柚子さんはボクのことより、お家の事情を優先したんです・・・それは変わりません。」
しかし、風莉はそれに続けて否定します。
それも違う。本当の理由が別にある・・・と。
この記事では紹介しませんでしたが、
風莉は付き合い始めた湊と柚子をずっと監視していました。
それは「二人が不祥事を起こさないように」という名目もありますし、
自分が湊と結ばれる可能性を確かめるという意味もあると思いますが、
一番の目的は「二人の関係をしっかり見守る」ということにあったと思います。
大好きな湊がこれから本当に幸せになってくれるか、その意味も込めて二人のことを見ていたのでしょう。
そして二人の関係をちょうど見極めるくらいのタイミングで柚子は風莉が湊のことを好きだと気が付いてしまいこの状況になってしまっているというなんともタイミングの悪い状況というわけです。
そんな風莉だからこそ、柚子が湊以外に何かを優先させることはないと言い切ったのでしょう。
そんな彼女は、こう続けます。
風莉「あの・・・ねえ、湊・・・」
「私ね・・・ひどいのよ?今がチャンスだって、思ってる」
「あなたの傷につけこむわ。大好き・・・。私なら、絶対にあなたを悲しませたりしないわ」
心からの彼女の告白。
「・・・返事、聞かせて?今すぐに」
「すぐに答えて。私と、柚子の・・・どっちが好き?私は、あなたの一番になりたいの」
これは、本当に彼女にとっての最後のチャンスです。
湊の気持ちをちゃんと確かめる最後の確認であり、一押しです。
ずっと二人を見つめていた彼女には湊がどんな答えを出すかわかっていたことでしょう。
湊「ごめん・・・なさい」
「風莉さんとは、お付き合い・・・できないです」
「・・・ボクが好きなのは、柚子さんですから」
風莉は自分の気持ちを告白し、すぐに返事を問いました。
これは湊の正直な気持ちを聞くためで、考えて答えを出してほしくなかったのでしょう。
そして、湊にとって誰が一番なのか、
それが他人の好意などで変わってしまうものなのかを聞きました。
これは自分にとって柚子がどんな存在なのか再確認させるためです。
ここで湊が少しでも振り向いてくれるのが風莉にとって最後のチャンスだったということですね。
そんな彼女が湊に最後の一押し。
風莉「あなたは、柚子が好きなのでしょう?他の人ではだめなのでしょう?それなのに、諦めるの?」
「迷っていても、悩んでいても、どうにもならないわ」
「待っているだけだと、手遅れになるわよ?私みたいに」
この柚子ルートの風莉は報われない結果ではありますが、本当にこのキャラクターの魅力が垣間見えるなあと思いました。
下手すると風莉ルートより魅力的な部分も見られるのでは・・・?と思ってしまう自分もいます。
風莉「女の子はね?いつだって・・・王子様がさらってくれるのを、待っているのよ?」
その言葉を風切りに湊は部屋を飛び出した湊でしたが、
既に寮に柚子の姿はありませんでした・・・。
・・・
実家に帰ってきた柚子
自分が残してきたいろんなものについて考えを巡らせます。
しかし、湊のことを思い返して、自分がしたことも思い返します。
その姿は無気力とでも言えばいいのでしょうか。
自分が一番大切にしていた人も、気持ちも捨ててきてしまったわけですから。
どうやっても拭いきれない後悔の念が彼女に残ります。
そんな風に家の外で考え事をしていた柚子でしたが、
そこに母から一本の電話が入ります。
「理事長さんと・・・お友達がもう一人、いらしてるわよ」
急いで帰ってきた柚子
柚子「・・・やっぱり、風莉さんと湊くんですか」
「どうしてこんなところにいるんですか?訳が分からないですっ」
柚子の母「いいから座りなさい」
柚子が来る前に柚子の母と湊、風莉はすでに色々な話をしていた様子でした。
湊が男であるということも。
風莉「湊、もう一度さっきの台詞言ってみたら?」
湊「えええっ・・・!?また言うんですかっ!?」
「あれって人生で一度きりだって思ってたんですがっ!」
柚子の母「ふふっ、でも柚子にも聞かせてあげたいわ」
「ほらほら、言っちゃいなさい?ここで言えないような気弱な人だと、認めませんよ?」
風莉「湊、無駄な抵抗は諦めなさい?」
湊「分かりましたよぉ・・・」
覚悟を決めて、姿勢を正す。
そうして、柚子さんのお母さんにまっすぐ目を向けて。
湊「お、おおおお嬢さんをっ!ボクに下さいっ!」
柚子の母「ということを、ついさっき言われたのよ?」
湊「い、言いました!返事はまだいただいていませんっ!」
柚子「なっ・・・ななななっ!?」
「ちょっ・・・なななに言ってるんですかっ!?私お見合いするんですよ!?」
どうやら湊たちが考えていた柚子の母という想像とはかけ離れていたようで
柚子の母親は将来結婚してくれる相手もいないだろうということで結婚相手を勧めていたそうです。
しかし結婚してくれる相手がいるなら万々歳と、二人の交際を認めてくれます。
しかし、今までお見合いを断り続けてきた柚子がいきなり受けると言い出したわけですから何か事情があるのだろうということで柚子の母と風莉は席を外し、二人きりで話し合う時間を作ってくれました。
湊「えっと・・・あの・・・お話・・・させていただけますか?」
柚子「はい・・・」
柚子「・・・ずるいです」
「外堀から埋めてくるなんて、本当にずるいです」
湊「すみません・・・。でも、柚子さんがお家の事情を優先なさるなら、これが筋かなって思ったんです。」
柚子「こうして、迎えに来て下さったのは・・・嬉しいです。でも・・・」
湊「あの・・・柚子さん」
「実は柚子さんに振られた後・・・風莉さんに告白されました。」
柚子「・・・そう、ですか」
湊「驚かないんですか?」
柚子「予想していた通りの展開ですから。でも・・・」
「・・・なのに、ここに来てしまったんですね」
湊「はい・・・お断りしました。ボクが好きなのは、柚子さんですから」
柚子「振られたのに・・・ですか?」
湊「たとえ柚子さんがボクをどう思っていても、ボクが柚子さんを好きな気持ちに変わりはありません」
柚子「そんなの・・・困ります」
湊「先に、お義母さんの方に言っちゃいましたけど・・・。後回しになってしまって申し訳ないですけど・・・」
湊「柚子さん・・・ボクの、お嫁さんになってください」
柚子「・・・・・・・・・」
「・・・お断りしたら、どうなりますか」
湊「ボクが不幸になります。全部忘れて、風莉さんと幸せに暮らすとか・・・ないと思います。」
柚子「・・・そう、ですか」
「もう・・・っ、まったくもう・・・っ!これじゃ断れないじゃないですかっ」
「ごめんなさい・・・、ごめんなさいですっ!」
「酷いこと言って、ごめんなさい・・・!遊びだったとか、そんなの嘘です・・・大嘘なんですっ!」
「大好き!私、許されないことしたのに・・・!それでも私を選んでくれてっ!嬉しいですよぉ・・・!」
「い、今さらっ、ですけど・・・!湊くんが好き・・・!許してもらえるなら、私っ、あなたのお嫁さんに・・・!」
湊「柚子さん・・・もう泣かなくていいですから」
「一緒に、帰りませんか・・・ボクらの家に」
柚子「湊くん・・・♪はい・・・はい・・・っ!」
「もう、一生ついていきますから・・・!」
・・・
そうして、柚子ルートは無事エンディングを迎えるわけです・・・。
では最後の部分をいろんな面から考察してみましょう。
実は今回の記事は引用を少なめにして自分の文章を多めに書いてみようと思ったのですが・・・やはり最後の部分と言いますか・・・作品の魅力的なところは自分の文章だけでは言い表せませんね・・・
外堀を埋める、という表現があったと思います。
これは柚子が表面上言っていた湊と別れるための理由を無くすということですが、
これにもたくさん方法はあったと思います。
つまりは柚子を正直に気持ちを吐き出す状況を作ればいいわけですから、
例えば「本当はそう思ってないですよね?本当の理由を教えてくれませんか?」
とか言ってもその表向きの理由を失くすことはできますからね。
しかし、湊はそれをしませんでした。
親に結婚させてもらう許可を取り、柚子がお見合いをしなくてはならないという理由を取っ払ったわけです。
これこそが湊のいう筋なのでしょうね。
そしてこの柚子ルートの一番の見所の二人で話し合うシーンについてです。
ここで一番素晴らしいなと思ったのは、柚子が湊になぜ別れようと言ったのか、その理由を一切聞いていないところなんですよ。
湊は柚子の実家に来てから色々なことを確かめていました、
それは柚子という人が本当に心優しい人間だということを確認し
柚子には何かしら湊と距離を取りたい理由があるのだということを知るために。
しかし、その理由は聞きません。
自分にとって柚子がどんな存在なのか。
柚子が思うような幸せは、相手は望んでいないし、それは叶わないと伝えるだけです。
柚子がどんなことを考えていようとも、自分が柚子のことが好きだということは変わらない。一番が柚子であるからこそ、柚子と結ばれることが自分にとって一番の幸せであるということです。
これは柚子の考えていた葛藤の答えになるんですよね。
相手にとって誰が相応しいか、そんなことは関係ないんです。
柚子が考える幸せは相手にとっての幸せとは限りません。
寧ろ柚子と結ばれることこそが唯一の幸せだと、そう答えているわけです。
いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー素晴らしい。
ここまで完璧なシナリオを魅せられてしまうと素晴らしいしか言えなくなってしまいます。
何も言葉を求めずにさらいに来た湊はまさに「王子様」でした。
私がさらに伝えたいことは、
「湊という主人公がいかに男らしいか」
ということなんですよ。
私は18禁PCゲームこそやるのはこれで二作目ですが、今までいろんなアニメを見て来たりゲームをしてきたりしました。
もちろんヒロインも魅力的なんですが、ここまで主人公が魅力的でキレイなシナリオを見るのは初めてくらいの衝撃でした。
その姿こそは女の子のように可愛らしいですが、
その行動は男らしく、筋が通っている。
これこそがオトメ*ドメインの最大級の魅力だと思うんですよね。
ここまで主人公に魅力を感じた恋愛ゲームは初めてかもしれません。
これから他のルートも交えて、その魅力について語っていきたいと思います。
ここまで見ていただきありがとうございました。
また見ていただけると嬉しいです。
↓他ルート
オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part1 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 感想 考察 西園寺風莉編 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 全編考察 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part2
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
前回の記事↓
前回の記事で書いたことではありますが、柚子と湊が恋人として結ばれてからの続きです。
優しくて、明るくて、見た目と違いお転婆で、
でも自信は無くて、不器用で、
そんなヒロイン像が見えてきたのではないでしょうか。
そしてここからの展開として欠かせないのが
えっちなシーンですね。
前の最初のゲーム紹介の記事にも書きましたが、
えっちなイベントが来る度に深まっていく距離が非常に美しいんですよ。
なんて言うんですかね・・・ただ単にそういうシーンが描かれているわけではなくて、それが一つのコミュニケーションとして描かれているんですよ。
これが素晴らしい。
こういうゲームでしか描くことのできないことだと思います。
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、やっぱり少し火照って高揚してしまう。
そのヒロインが魅力的に見える瞬間だなあと、
一般的に出回る18禁のゲームは割とそういうシーンの心理描写はおざなりにされていると言いますか・・・まだ全然初めて間もないエロゲプレイヤーが何を言っているのかという感じですが・・・シナリオ上あってもなくても変わらないって場合が多いと思うんですね。
しかし、このゲームは、是非、飛ばさないで見てください。
既プレイで飛ばしちゃったよって方や、性的欲求に負けてあまり深く文章は読んでなかったよって方はもう一度プレイしてみて頂きたいです。
こればかりは記事で詳細に書くことはできません。
自分の目で、耳で、そのヒロインの魅力を感じ取ってください。
少しシナリオ考察とは脱線した話になってしまいましたね、
元に戻しましょう。
どんどん仲を深めていく柚子と湊。
しかしここで一つ問題が発生します。
柚子がある日、ヒロインの一人の風莉が湊の写真を大量に持っていることを見つけてしまいます。それも盗撮の写真でした。
柚子はその理由は「風莉が湊のことが好きである」からだと理解しました。
柚子の胸の鼓動は不安で乱れていきます。
風莉にはかつて第二寮を用意してもらったり、普段から友達として仲良くしている柚子ですが、本気になってる湊のことを手放すことなどできません。
そこで柚子がとった対策が「二人がラブラブなことを見せつけ、諦めさせる」という方法でした。
しかし、それに対して風莉は・・・心からの祝福で迎え入れました。
風莉「一緒に暮らそうって決めた時のこと(第二寮のこと)、覚えているかしら。」
「あの日、あなたは言っていたわ・・・よく覚えてる」
「恋がしたいって、泣きながら言っていたのよ」
「あの時の願い、叶えられた・・・?」
柚子「求めていた以上に、素敵な恋です・・・幸せですから」
風莉「そう、願いが叶ったなら・・・よかったわ」
「湊をここに連れてきて、よかった」
(風莉さんの言葉を聞いて、本当に唐突に気が付きました)
(どうして、風莉さんが男の子を転校させるなんて、無茶なことを実行したのか。)
(今の私には・・・恋を知った私には、よく分かります。)
(好きな人の側にいたかった。)
(きっと、本当はただそれだけの理由・・・なんですよね?)
(私って、酷い・・・。なのに・・・私が悪いのに・・・。)
(そんな心から祝福するような目で・・・見ないで。)
風莉「あなたになら、湊を任せられる・・・。湊が寂しくて泣いているところ、もう見たくないわ」
「湊のこと、幸せにしてあげてね?私からのお願いよ」
私はこの時点まで「風莉が湊のことを好き」というのはミスリードだと思っていました。
しかし、ここまでの文章の隅々に読めるポイントは隠されていましたね・・・それは恋をした柚子の共感です。同じ人を好きになった人同士にしかわからない共通の思いです。そこから柚子は風莉の感情を読み取ることができたのでしょう・・・我ながら平凡なミスリードをしてしまいましたね・・・。
風莉が去った後、
柚子「私、最低です・・・」
風莉さんは、湊くんの・・・好きな人の幸せだけを考えていました。
なのに、私と来たら・・・。
「・・・結局、自分のことばかり」
変わっていないです・・・まともに家事一つ出来なかった頃と、何一つ変われていないです。
「自分が好きなものを作って、自分が気に入らないから後片付けもしないで、他の人の迷惑なんてまるで考えていなくて・・・」
きっとそれが、醜い私の真実なのでしょう。
矮小で、自分勝手で、思いやりなんて、上辺だけの女。
「こんな私・・・大嫌い・・・」
「こんな最低の女っ・・・湊くんに相応しくないっ」
風莉さんみたいになりたいって、憧れました。
好きな人が一番幸せになれるように。それだけを考えて──
「だったら、私じゃないですよ・・・ねっ?」
その後日、柚子は湊を呼び出し、こう続けました。
柚子「実は・・・前に来ていたお見合いの話なんですけど。お受けしようと思うんです。」
「そういう家に生まれてしまった以上、仕方がないんです。」
「だから、ごめんなさい。」
「・・・別れ、ましょうか」
「私、学園は辞めて・・・結婚します。」
「ですから、湊くんも私のことは忘れてくださいね?」
湊「な、何をバカなこと言ってるんですかっ!柚子さん、ボクのものになってくれるって・・・!」
「身も心もボクのものだって、そう言ってくれたじゃないですかっ!」
柚子「そうですね・・・言いました。でも・・・」
「ふふふっ、あんな言葉を本気にしていたんですか?恋愛と結婚は別の話に決まってますよ?」
「私、結婚する前に一度だけ恋愛ごっこをしてみたかったんです」
「でもここって女子校じゃないですか?手頃な相手なんていないですし、困っていたんですよね」
「そんなときにあなたが私の目の前に現れた。女子校なのに、同い年の男の子で・・・私に好意まで持ってくれていて」
「都合のいい話ですよね?弱味も握っちゃいましたし、いつでも後腐れなく別れられる・・・。恋愛ごっこにはぴったりです」
「うーん、まあ・・・嫌いではないですけどね?」
「湊くんのことなんて遊びに決まってるじゃないですか」
「正体をバラされたくなかったら。別れて下さいね?」
そして柚子は、誰にも本当の理由を話すことなく学園を去ることを決意します。
と、ここまでをpart2で話す内容としましょう。
私も流石に第二作目となりどこで切ればエンターテインメントとして魅力的になるか理解してきましたよ。
さて、今回のシナリオ考察ですが、非常に胸が苦しくなる内容ですね・・・
ここで勘違いして頂きたくないのが、最後の部分だけを切り取って柚子が最低のヒロインであるという風に読み取らないでほしいということですね。
一番最初に説明した通り、「柚子」というヒロインは自信がない、自分が嫌い、そして不器用であるということですね。
それ以前の話をしっかり読み込んでいれば柚子は友達思い、他人想いな心優しい人柄であるということは間違いないと考えています。
しかし、自分への嫌悪感から自分の理想像である風莉とずれてしまうことで自己嫌悪に陥ってしまいがちです。
人っていうものは「自分が嫌いな人間を演じる時」が一番非情になってしまうんですよね。
今の柚子にはそれが当てはまっていると思います。
自分自身はダメな人間だ、醜く、矮小である。そう思いながら言葉を出してしまうと今のような状況になってしまうでしょう。
なによりこのヒロインは不器用ですから、自分で勝手に考えて間違った方向に進んでしまうんです。
次に今回の問題のポイントについてまとめておきましょう。
・柚子は自分が湊に相応しくないことが理由で別れようと決意した。
・柚子の自己嫌悪は簡単に解決できるものではない
・しかし柚子の本当の気持ちは周りの人間には一切伝えていない
以上の三点が挙げられると思います。
これらのポイントを踏まえて湊がどう行動していくのか、お楽しみください。
それでは今回の記事はここまでとさせていただきます。
ありがとうございました!
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オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part1
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
オトメドメインの個別ルート最初のヒロインは
貴船柚子ちゃんです。
個別ルートが始まって早々に柚子ちゃんはなぜ湊が家を出ようとしたのか尋ね、
そして「湊が男である」ということを見事言い当てます。
今までの行為に反省し、深く謝罪する湊に対して柚子は
「怒ってなんか、いないですから・・・ね?」
「あなたが男の子でも、私は平気。これはその証拠です。」
「そんなに、怯えないでください。男の子でも女の子でも、湊さんは湊さんです。私の大切なお友達です。」
柚子の個別ルートに入って初めて触れる彼女の一面は
「優しさ」と「温かさ」です。
風莉の場合は元々男であることを理解した上で自分の学園に呼び込むために女装を要求したわけですが、柚子の場合はそうではなく初めから女の子として接していたわけですからこれが湊にとって初めて「女子校に来て、男であることを認められた瞬間」だったわけですね。
そんな優しい面もある彼女ですが・・・
「ふふっ♪それにこんな面白いこと、終わりになんてしたくないですよっ」
「女子校に女装男子ですよ?男のムスメと書いて男の娘ですよっ?誰にも知られちゃいけない、巨大な秘密と陰謀ですよっ?」
「それにそれにっ、すっごい弱みを握っちゃいました!」
「これでもう湊さん・・・いえ、湊くんは私の言いなりです!」
この見た目とは少し裏腹に結構お転婆なところがあって色々なものに興味が深々。
可愛らしい湊に対してはちょっとイタズラしたいと思うようなお茶目なところもあります。
何と言いますか、探求心と行動力がすごいんですよね。
一見大人しそうに見える彼女ですが夜の学校の屋上に登り、笑顔を見せるような娘です。
その無邪気さと麗しさに湊は惹かれるようになります。
そんな湊に対して柚子の方はというと、
柚子にとって男の子と接する機会というものは非常に少なかったようで湊に対しては興味深々。
二人はお互いに秘密を知っているという接点から一緒に行動するようになり、柚子はなんとなくではありますが湊のことが気になっていく様子です。
しかし、この時点では柚子は本当の意味で湊のことを好きになっているというわけではなく、単純に興味心で湊のことが気になっているというように見受けられます。
そんな彼女は湊の気をひくために家事の練習をし始めます。
そのためにみんなの勧めで最も身近なお手本である湊に家事を習うようになりますが・・・
最初にカレーを作る練習をするのですが、最後の最後で余計な手を加えてしまい、
「何もしないでくださいね」という湊の要望を裏切ってしまいます。
その後で柚子は「湊に嫌われたかもしれない」と酷く後悔します。
胸が痛み、嫌われたくないという今までに感じたことのない感情に気が付きます。
これが初めて柚子自身が感じた湊が好きだと思う気持ちだと思います。
柚子は湊に対して
柚子「こんな駄目な女の子が湊くんを振り向かせよう、何様だって感じですよね?」
柚子「今まで、付きまとったりしてすみませんでした・・・」
湊「あの、家事が苦手なくらいで、そんな自信をなくさないで下さいって!」
柚子「でも、私が嫌なんです・・・こんな自分は恥ずかしいって、湊くんには相応しくないって、そう思ったんです。」
柚子さんは天真爛漫なその姿とは裏腹に自信がない部分も持ち合わせているようですね。
そんな柚子に湊は、
湊「柚子さんは、今の自分が恥ずかしいって思ったんですよね?だったら、そのままでもいいんですか?変わりたいって思わないんですか?」
柚子「それは・・・できれば、まともになりたいですけど」
湊「柚子さんが本気でそうお望みなら、ボクの方も真剣に取り組みます。どこに嫁に出しても恥ずかしくない、家事の達人にして差し上げます。」
湊「ご自分が、その、ボクに相応しくないって思うなら・・・相応しい人になってくださいよっ!」
ここから柚子の行動がガラッと変わります。
湊の言うことをしっかり聞き、湊に毎日家事を習うようになりました。
それと同時に湊への見方も変わり始めます。
湊がいかに彼女たちのために料理、洗濯、掃除など
どれだけ彼女たちのために家事をしてくれているか。
それがいかに大変なことなのかを身をもって理解しました。
今まで気が付かなかったことに気が付きはじめ、
湊から多くのものを受け取っていたことに気が付きます。
そんな湊に、柚子はどんどん惹かれていきます。
しかし、どうしても自分と対比してしまい、自信のない柚子は
自分に何ができるのか、何が返せるのかと考え込んでしまいます。
柚子「湊くんは、すごいですね・・・」
「だって、何でも出来ちゃいます・・・。勉強も、運動も・・・、家事も完璧で・・・こんなに美味しい紅茶も淹れられて・・・」
「私なんて、何にも出来ないのに・・・」
「尊敬、しているんです・・・湊くんのこと」
「湊くんは、すごく私たちに尽くしてくれています。私、それに気が付いて・・・感謝もしているんです。」
「湊くん、いつもいつも、ありがとうございます・・・」
「美味しい紅茶をありがとう・・・綺麗なお部屋をありがとう。他にもいっぱい、ありがとうを言いたくて」
「でも、こんな言葉だけじゃなくて・・・私、恩返しがしたいんです。お礼がしたいんです」
「目を、閉じてください」
──これって、やっぱりアレだよね?
き、キスとか・・・されちゃう系の・・・
・・・
「も、もう・・・目を開けていいですよ・・・」
湊「え・・・?えええぇぇぇぇっ!?」
いや、ホントに何が起こってるんでしょうね・・・
湊「ちょっ、なな何やってるんですかっ!?」
柚子「こ、これが・・・お礼です・・・」
「私・・・他には、何もないんです」
「恩返し、湊くんにしてあげられること・・・。いっぱい考えましたけど、思いつきませんでした」
「私、本当に無能で、役立たずで・・・」
「でも、あの・・・おっぱいには、ちょっとだけ自信がありますから」
湊「いやいやいやっ!おかしいですから!」
柚子「私のからだじゃ、お礼になりませんか・・・?」
湊「そ、そういうことではなくて・・・!前にも言いました!えっちなことは好きな人とするべきで・・・!」
柚子「わ、私はっ・・・湊くんが好きです、よ?」
「当たり前じゃないですか・・・。好きでもない人と、えっちなことしようなんて思わないですっ」
「だ、だから、私の方は問題ないんです。それでも、駄目ですか・・・?」
「したくないのは、湊くんが・・・私のこと、嫌いだから?」
湊「あ、あのですね、柚子さん──」
「ボクも、その・・・好きです・・・」
「柚子さんのこと、好きです・・・!」
柚子「・・・本当に?」
湊「って、なんで疑うんですかぁっ!」
「この状況で嘘なんてつきませんよっ!本当ですからっ」
柚子「でも・・・私のどこが好きなんですか?」
湊「どこって・・・それは・・・」
柚子「一人だと、料理もお洗濯も出来ない女の子ですよ?私は自分が嫌いなのに・・・どこが好きになれるんですか?」
湊「柚子さんは、とても素敵な人です」
「初めて会ったとき、素敵な笑顔でボクのことを受け入れてくれました。」
「ボクが男だって知られたときも、嫌な顔ひとつしないで受け止めてくれて・・・」
「ボクは嬉しかったんです。ボクが柚子さんを好きになる理由には、十分です」
「柚子さんは、大和撫子なんかじゃ全然ありませんでした」
「ちょっぴり意地悪で、お転婆で、楽しいことが大好きで。最初に思っていたのとは、全然違う女の子でした」
柚子「ガッカリ・・・ですよね」
湊「いいえ?全然そんなことはなかったですよ」
「柚子さんには振り回されてばっかりで、側にいると大変で──でも、それが楽しくて」
「一緒にいると、毎日がわくわくするんです」
「それに、苦手なことも一生懸命な柚子さんは、とっても可愛いです」
「家事、全然駄目なのに、すごく頑張って克服しようとしていて・・・」
柚子「いっぱい迷惑かけてますけど・・・」
湊「案外、悪くないものですよ?手のかかる子ほど可愛いといいますか」
柚子「それ、恋人に向ける言葉じゃないですよ・・・?」
湊「あはは・・・そうかもです。でも、楽しかったんです。この数日間、ずっと」
──その言葉には、何一つ偽りなんてない。
一体どうすれば、言葉以外でこの気持ちを伝えられるだろう。
考えても、そんなの今の僕にはわからなくて。
湊「だから、ボクは柚子さんが好きです」
「駄目なところもいっぱい持っている、今の柚子さんが、大好き・・・すごく好きです!」
柚子「ぁ・・・ぁぅ・・・」
「今の私を・・・全肯定・・・?」
湊「はいっ、今の柚子さんがいいんですっ!」
柚子「そ、そんなこと言われたら・・・言われたら・・・」
「うぅ・・・嬉しくて、どうにかなっちゃいそうです」
湊「柚子さん・・・!大好きです、愛していますっ!」
ここまでが柚子個別ルート告白までのシナリオでした。
このゲームの良いところは、ヒロインの本当にいいところをしっかりと主人公が見つけてしっかりと伝えていく部分にもあると思います。
私自身がプレイしながらこの娘こういうところがいいなあと思ったところは全て湊が気が付き、その部分を好きになっているんですよね。
これは個人差があるものだとは思いますが、このシナリオを作った人がいかにこの作品のヒロインに愛を込めているかが分かります。
既プレイの方はもう一度改めてこの文章を見て「ああ、そうだなあ」と唸らされることもあると思います。
柚子というヒロインは見た目に反してちょっぴり意地悪で、お転婆で、楽しいことが大好きな女の子です。
しかし、それとは裏腹に自信がなく、自己嫌悪に陥りがちな性格も持ち合わせているようです。
そんな彼女に与えてあげるべきものは、肯定なんです。
人を好きになる理由なんてその人次第です。
湊は柚子のやさしさ、底抜けの明るさ、その行動力や探求心から好きになりました。
駄目なところがいっぱいあっても、そこもいいところだって肯定してあげる。
湊という主人公は最高の主人公なんですよね。
その行動すべてが人間として素晴らしいなあと思います。
確かに見た目は非常に可愛らしい男の娘なんですが、その実、行動はとても男らしいすばらしく魅力を持った主人公でした。
私が伝えたいこの作品の魅力っていうのはこの部分なんですよね。
「湊の決断」これが個人的なこのゲームの最大の魅力だと思います。
対して柚子というヒロインは先ほど説明した通りなのですが、
私がやはり一番着目したいポイントは
「不器用さ」なんですよね。
柚子はなんと言っても不器用なんですよ。
それはプレイした方はよーーーく理解して頂けていることかと思います。
この部分は柚子ルートを語る上で非常に重要なピースになります。
ここから柚子と湊はどういう結末を迎えるのか、
湊の行動にも注目して見ていただきたいと思います。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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