オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part1
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
オトメ*ドメイン二番目の攻略ヒロインは
大垣ひなたちゃんです。
共通ルートが終わり、ひなたは誕生日プレゼントとして湊に携帯ゲーム機を送ります。
それはひなた自身の趣味でしたが、共通ルートの時点で湊がこのような趣味にも興味があるとわかっていてプレゼントしたのでしょう。
その一番の目的はやはり、一緒に遊びたかったから。
湊が部屋に戻って少し経ってからひなたが湊の部屋を訪ねました。
ひなた「あ、あのね・・・?大したことじゃないんだけど」
「これ、一緒に遊びたいなって・・・思って」
湊は快くひなたのお願いを受け入れます。すると・・・
「あれ・・・、あはは、ひなた、どーして泣いてるのかな・・・」
ひなたはたまらず涙を流します。
これはもちろん自分の趣味があう人と遊ぶことができるというニュアンスもあるとは思いますが、それ以上にここで感じるのは安心、ですね。
もしかしたらいなくなっていたかもしれない存在。
その湊とまたこうして話すことができて、一緒に遊んでくれる。そのことが嬉しくてたまらなかったのだと思います。
さらにもう少し深読みするのであれば・・・自分が湊に対して何もできなかった無力感というものもあるかもしれませんね。
ひなたにとって湊はそこまで大切な人間になっていたわけです。
この学園で過ごす上では唯一の理解者と言ってもいいかもしれません。
そのことは湊にとってはとてもうれしいことで、自分を必要としてくれる存在は自分のいる意味を確認できるとても大切な人になるのでした・・・
・・・
それから、湊とひなたは共通の趣味を介して仲良く過ごすことになります。
ここからがヒロインひなたの真骨頂!
年下の幼いロリボイス!好きなことにはまっしぐら!根が良い子だからすぐ中二病が解けてしまう!
こんな甘々な年下ヒロイン、好きにならないわけがないんだよなあ!
まあ・・・やった人ならわかるでしょう・・・
自分は今まで年下ヒロインにはあまり惹かれなかったんですが・・・このひなたちゃんの持つパワーは恐ろしいですね・・・
ヒロインに順位をつけるのはナンセンスではありますが、一人選べと言われれば迷わずこの娘を選びます。
つまりは!ひなたルートの序盤はただ可愛いが詰まってるだけで説明不要ってことですよ。
そんなふうに毎日仲良く過ごしていった湊とひなた。
次第にひなたは湊に惹かれていきます。
これは湊と趣味が合うということも大きいと思いますが、共通ルートでひなたを助けたことの方が大きいでしょう。
ひなたにとって湊はあこがれの存在。強くて、カッコよくて、何でもできる。
そんな湊が趣味もあって、困った顔一つせず、楽しく一緒に過ごしていくことでその魅力にどんどん惹かれていったのだと思います。
しかし、一番の問題点がひなたが湊のことを女の子だと認識していることでした。
そんな中、湊は担任の先生にひなたが学校で孤立していると話を持ち掛けられます。
そして湊にそれをどうにかしてほしいとお願いされてしまいました。
湊自身もそのことは気になるようで、ひなたに真面目な話し合いをします。
ひなたは周りの環境が嫌なわけではなく、湊のところへ行きたいからいっているのだと訴えかけますが、湊も自分のクラスで居場所を作ってほしいという気持ちで少し突き放して自分のクラスで生活するように言いました。
しかし、そんなことを言ってしまったことを湊はすぐに後悔してしまいます。
もう入学してから1カ月半は経ったくらいだと思います。
すでに教室内のコミュニティができあがり、会話に入りづらい環境。
そんな彼女にただ突き放すだけで何もしてやれない自分がいて、
そして最初からそれを言ってあげられなかったことを反省します。
そこで湊がとった行動が・・・
湊「あのっ!魔王軍に、ボクを加えてくださいっ!!」
湊としてはひなたにこのままでいて欲しくはない、クラスに自分の居場所を作ってほしい。しかし、そこで自分ができることはなにか考えた上で湊がひなたの心の支えになることを選んだのだと思います。
しかし、これは湊がひなたに心の距離を寄せる初めての瞬間でした。
湊は今までの話を見ても基本的に受け身であることが多く、自分から心の距離を踏み込んで行動することは多くありませんでした。それは身内がおらず距離を詰めることに躊躇いがあるなどの理由があると思います。
しかし、だからこそ、湊が距離を詰めるということはひなたへの気持ちが動いている表れでしょう。
それは結果的にひなたちゃんの気持ちを加速させていきます。
そして、その気持ちが恋であるということも理解します。
しかし、ひなたは湊のことを女の子だと認識しているので現実でそんな気持ちを伝えてしまったら嫌われると思い、自分の気持ちを隠そうと思うのですが・・・
それとは裏腹に抑えきれない気持ち。
このあたりの感情の動きが非常に艶めかしくて、ドキドキしてしまいます。
今までと変わらない距離で接する湊に、ついにひなたは・・・
ひなた「お姉さま・・・」
「あの・・・ね?魔王軍に入るには、契約の儀式が必要なの」
「儀式・・・してもいい?」
「動かないで・・・ね?ひなたが、するから・・・」
湊「キスが、契約の儀式・・・ですか?」
「それだけ・・・ですか?」
「他の意味はないって、思うべきですか・・・?」
ひなた「・・・違う、のだ」
「す、好きっ・・・なの・・・」
「お姉さまが好き・・・恋愛って意味で、大好きなのっ」
湊「・・・でも、女の子同士ですよ?」
ひなた「わ、分かってる・・・けどっ!でもねっ?お姉さまの側にいると、ドキドキするの・・・顔が熱くなっちゃうの・・・」
「これって、風邪とかじゃないよね・・・?絶対、お姉さまが原因だもんっ!病気は病気でも、恋の病・・・だよね?」
「あは・・・、やっぱり、変だよね?女の子同士で、こんなの・・・気持ち悪いよね?」
湊「それは・・・」
ひなた「ご、ごめんね・・・?こんなの、迷惑っ・・・だよね?でも、どうしてもっ・・・、告白、したくて・・・」
「嫌だったらっ、いいっ・・・からね?振られても、平気だし・・・、嫌われても・・・仕方がない・・・から」
結論なんて、一つきりだった。
僕はひなたさんを哀しませたくない。
それ以前に、断りたいなんて気持ちが欠片も浮かばない。
湊「・・・ボクも、好きです」
ごく自然に、唇がその言葉を紡ぎだした。
「ひなたさんのこと、好きです・・・女の子同士でも」
ひなた「嘘、ついてない・・・?無理してない・・・?」
湊「本当ですよ。ボクは・・・女の子が好きなんです」
ひなた「あ、あは・・・、じゃあ本当に?お姉さま、女の子が好きなのだ・・・?」
湊「正確には、ひなたさんは好きなんです。好きになった人が、たまたま女の子だったんです」
ひなた「そ、そっか・・・、うん、ひなたもそんな感じ・・・」
湊「ふふっ、ボク達、相思相愛ですね・・・?」
ひなた「うんっ♪」
こんな幸せそうなひなたさんを、僕は初めて見る。
今の微笑みを、ほんの少しでも曇らせたくなかった。
だから、彼女の気持ちの全部を受け止めたくて──
ひなた「あの、お姉さま・・・もう一回、儀式してもいい?」
湊「・・・もちろん」
ひなた「今度は、恋人の契約・・・なのだ・・・」
・・・
以上がひなたルートの告白シーンまでのお話でした。
このシーンを見て何ともむず痒いなあと感じる人は多いですよね。
かく言う私もむず痒く感じる一人なのですが、湊の考えていることからすればこの行動は正解、なんですよね。
選択肢はたくさんあったはずです。
・男であることを告白し、受け入れる。
・男であることを告白し、断る。
・男であることを告白し、考え直してもらう。
・男であることを隠し、断る。
・少し考える時間をもらう。
しかし、そんな中で
・男であることを隠し、受け入れる。
という選択は、同じ性別を持つ人とわかっていながら告白してきたひなたに対しての最大限の配慮だと思います。
この選択が、ひなたにとって一番よい結果をもたらす選択だったんですよね。
ただし、その場限りの話ですが・・・
その代わりに、湊自身問題ができてしまいました。
男であるということを隠して恋人になってしまったこと。
ひなたは女の子である湊に告白をしました。
それが実は男だったら・・・
彼の優しさであり、弱さでもあると思います。
相手の気持ちや問題を受け止めて、自分の問題にしてしまいました。
前から思っていたんですが既プレイ向けの人に書いているんですから次はどうなっていくのでしょうかみたいな言葉はいらないですよね。
ここまで見ていただきありがとうございました。
次の展開の考察も見ていただけるとありがたいです。
↓次の記事
オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part3
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
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前回のあらすじ
無事二人の思いが実り付き合い始めた湊と柚子。
しかし柚子はもう一人のヒロイン、風莉が湊のことを好きだと気が付いてしまう。
柚子は風莉の方が湊に相応しいと思い、
その思いを誰にも告げず湊に別れを切り出す。
・・・
別れを切り出された湊は一人部屋にこもってしまいます。
そこに帰ってきた風莉さん。
柚子から話を聞いて真実を聞こうと湊のところへ駆けつけたようです。
風莉「湊は一人なんかじゃないわ・・・。あなたには、私がついているもの」
湊「やめてください・・・すがりたくなってしまいます。」
風莉「そう・・・ね。卑怯だわ・・・こんな言い方は」
風莉はずっと柚子を近くで見ていたからこそ、
柚子が本当に湊のことを好きである。
と湊に伝えます。
湊「・・・もしかしたらそうなのかもしれません」
「でも、柚子さんはボクのことより、お家の事情を優先したんです・・・それは変わりません。」
しかし、風莉はそれに続けて否定します。
それも違う。本当の理由が別にある・・・と。
この記事では紹介しませんでしたが、
風莉は付き合い始めた湊と柚子をずっと監視していました。
それは「二人が不祥事を起こさないように」という名目もありますし、
自分が湊と結ばれる可能性を確かめるという意味もあると思いますが、
一番の目的は「二人の関係をしっかり見守る」ということにあったと思います。
大好きな湊がこれから本当に幸せになってくれるか、その意味も込めて二人のことを見ていたのでしょう。
そして二人の関係をちょうど見極めるくらいのタイミングで柚子は風莉が湊のことを好きだと気が付いてしまいこの状況になってしまっているというなんともタイミングの悪い状況というわけです。
そんな風莉だからこそ、柚子が湊以外に何かを優先させることはないと言い切ったのでしょう。
そんな彼女は、こう続けます。
風莉「あの・・・ねえ、湊・・・」
「私ね・・・ひどいのよ?今がチャンスだって、思ってる」
「あなたの傷につけこむわ。大好き・・・。私なら、絶対にあなたを悲しませたりしないわ」
心からの彼女の告白。
「・・・返事、聞かせて?今すぐに」
「すぐに答えて。私と、柚子の・・・どっちが好き?私は、あなたの一番になりたいの」
これは、本当に彼女にとっての最後のチャンスです。
湊の気持ちをちゃんと確かめる最後の確認であり、一押しです。
ずっと二人を見つめていた彼女には湊がどんな答えを出すかわかっていたことでしょう。
湊「ごめん・・・なさい」
「風莉さんとは、お付き合い・・・できないです」
「・・・ボクが好きなのは、柚子さんですから」
風莉は自分の気持ちを告白し、すぐに返事を問いました。
これは湊の正直な気持ちを聞くためで、考えて答えを出してほしくなかったのでしょう。
そして、湊にとって誰が一番なのか、
それが他人の好意などで変わってしまうものなのかを聞きました。
これは自分にとって柚子がどんな存在なのか再確認させるためです。
ここで湊が少しでも振り向いてくれるのが風莉にとって最後のチャンスだったということですね。
そんな彼女が湊に最後の一押し。
風莉「あなたは、柚子が好きなのでしょう?他の人ではだめなのでしょう?それなのに、諦めるの?」
「迷っていても、悩んでいても、どうにもならないわ」
「待っているだけだと、手遅れになるわよ?私みたいに」
この柚子ルートの風莉は報われない結果ではありますが、本当にこのキャラクターの魅力が垣間見えるなあと思いました。
下手すると風莉ルートより魅力的な部分も見られるのでは・・・?と思ってしまう自分もいます。
風莉「女の子はね?いつだって・・・王子様がさらってくれるのを、待っているのよ?」
その言葉を風切りに湊は部屋を飛び出した湊でしたが、
既に寮に柚子の姿はありませんでした・・・。
・・・
実家に帰ってきた柚子
自分が残してきたいろんなものについて考えを巡らせます。
しかし、湊のことを思い返して、自分がしたことも思い返します。
その姿は無気力とでも言えばいいのでしょうか。
自分が一番大切にしていた人も、気持ちも捨ててきてしまったわけですから。
どうやっても拭いきれない後悔の念が彼女に残ります。
そんな風に家の外で考え事をしていた柚子でしたが、
そこに母から一本の電話が入ります。
「理事長さんと・・・お友達がもう一人、いらしてるわよ」
急いで帰ってきた柚子
柚子「・・・やっぱり、風莉さんと湊くんですか」
「どうしてこんなところにいるんですか?訳が分からないですっ」
柚子の母「いいから座りなさい」
柚子が来る前に柚子の母と湊、風莉はすでに色々な話をしていた様子でした。
湊が男であるということも。
風莉「湊、もう一度さっきの台詞言ってみたら?」
湊「えええっ・・・!?また言うんですかっ!?」
「あれって人生で一度きりだって思ってたんですがっ!」
柚子の母「ふふっ、でも柚子にも聞かせてあげたいわ」
「ほらほら、言っちゃいなさい?ここで言えないような気弱な人だと、認めませんよ?」
風莉「湊、無駄な抵抗は諦めなさい?」
湊「分かりましたよぉ・・・」
覚悟を決めて、姿勢を正す。
そうして、柚子さんのお母さんにまっすぐ目を向けて。
湊「お、おおおお嬢さんをっ!ボクに下さいっ!」
柚子の母「ということを、ついさっき言われたのよ?」
湊「い、言いました!返事はまだいただいていませんっ!」
柚子「なっ・・・ななななっ!?」
「ちょっ・・・なななに言ってるんですかっ!?私お見合いするんですよ!?」
どうやら湊たちが考えていた柚子の母という想像とはかけ離れていたようで
柚子の母親は将来結婚してくれる相手もいないだろうということで結婚相手を勧めていたそうです。
しかし結婚してくれる相手がいるなら万々歳と、二人の交際を認めてくれます。
しかし、今までお見合いを断り続けてきた柚子がいきなり受けると言い出したわけですから何か事情があるのだろうということで柚子の母と風莉は席を外し、二人きりで話し合う時間を作ってくれました。
湊「えっと・・・あの・・・お話・・・させていただけますか?」
柚子「はい・・・」
柚子「・・・ずるいです」
「外堀から埋めてくるなんて、本当にずるいです」
湊「すみません・・・。でも、柚子さんがお家の事情を優先なさるなら、これが筋かなって思ったんです。」
柚子「こうして、迎えに来て下さったのは・・・嬉しいです。でも・・・」
湊「あの・・・柚子さん」
「実は柚子さんに振られた後・・・風莉さんに告白されました。」
柚子「・・・そう、ですか」
湊「驚かないんですか?」
柚子「予想していた通りの展開ですから。でも・・・」
「・・・なのに、ここに来てしまったんですね」
湊「はい・・・お断りしました。ボクが好きなのは、柚子さんですから」
柚子「振られたのに・・・ですか?」
湊「たとえ柚子さんがボクをどう思っていても、ボクが柚子さんを好きな気持ちに変わりはありません」
柚子「そんなの・・・困ります」
湊「先に、お義母さんの方に言っちゃいましたけど・・・。後回しになってしまって申し訳ないですけど・・・」
湊「柚子さん・・・ボクの、お嫁さんになってください」
柚子「・・・・・・・・・」
「・・・お断りしたら、どうなりますか」
湊「ボクが不幸になります。全部忘れて、風莉さんと幸せに暮らすとか・・・ないと思います。」
柚子「・・・そう、ですか」
「もう・・・っ、まったくもう・・・っ!これじゃ断れないじゃないですかっ」
「ごめんなさい・・・、ごめんなさいですっ!」
「酷いこと言って、ごめんなさい・・・!遊びだったとか、そんなの嘘です・・・大嘘なんですっ!」
「大好き!私、許されないことしたのに・・・!それでも私を選んでくれてっ!嬉しいですよぉ・・・!」
「い、今さらっ、ですけど・・・!湊くんが好き・・・!許してもらえるなら、私っ、あなたのお嫁さんに・・・!」
湊「柚子さん・・・もう泣かなくていいですから」
「一緒に、帰りませんか・・・ボクらの家に」
柚子「湊くん・・・♪はい・・・はい・・・っ!」
「もう、一生ついていきますから・・・!」
・・・
そうして、柚子ルートは無事エンディングを迎えるわけです・・・。
では最後の部分をいろんな面から考察してみましょう。
実は今回の記事は引用を少なめにして自分の文章を多めに書いてみようと思ったのですが・・・やはり最後の部分と言いますか・・・作品の魅力的なところは自分の文章だけでは言い表せませんね・・・
外堀を埋める、という表現があったと思います。
これは柚子が表面上言っていた湊と別れるための理由を無くすということですが、
これにもたくさん方法はあったと思います。
つまりは柚子を正直に気持ちを吐き出す状況を作ればいいわけですから、
例えば「本当はそう思ってないですよね?本当の理由を教えてくれませんか?」
とか言ってもその表向きの理由を失くすことはできますからね。
しかし、湊はそれをしませんでした。
親に結婚させてもらう許可を取り、柚子がお見合いをしなくてはならないという理由を取っ払ったわけです。
これこそが湊のいう筋なのでしょうね。
そしてこの柚子ルートの一番の見所の二人で話し合うシーンについてです。
ここで一番素晴らしいなと思ったのは、柚子が湊になぜ別れようと言ったのか、その理由を一切聞いていないところなんですよ。
湊は柚子の実家に来てから色々なことを確かめていました、
それは柚子という人が本当に心優しい人間だということを確認し
柚子には何かしら湊と距離を取りたい理由があるのだということを知るために。
しかし、その理由は聞きません。
自分にとって柚子がどんな存在なのか。
柚子が思うような幸せは、相手は望んでいないし、それは叶わないと伝えるだけです。
柚子がどんなことを考えていようとも、自分が柚子のことが好きだということは変わらない。一番が柚子であるからこそ、柚子と結ばれることが自分にとって一番の幸せであるということです。
これは柚子の考えていた葛藤の答えになるんですよね。
相手にとって誰が相応しいか、そんなことは関係ないんです。
柚子が考える幸せは相手にとっての幸せとは限りません。
寧ろ柚子と結ばれることこそが唯一の幸せだと、そう答えているわけです。
いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー素晴らしい。
ここまで完璧なシナリオを魅せられてしまうと素晴らしいしか言えなくなってしまいます。
何も言葉を求めずにさらいに来た湊はまさに「王子様」でした。
私がさらに伝えたいことは、
「湊という主人公がいかに男らしいか」
ということなんですよ。
私は18禁PCゲームこそやるのはこれで二作目ですが、今までいろんなアニメを見て来たりゲームをしてきたりしました。
もちろんヒロインも魅力的なんですが、ここまで主人公が魅力的でキレイなシナリオを見るのは初めてくらいの衝撃でした。
その姿こそは女の子のように可愛らしいですが、
その行動は男らしく、筋が通っている。
これこそがオトメ*ドメインの最大級の魅力だと思うんですよね。
ここまで主人公に魅力を感じた恋愛ゲームは初めてかもしれません。
これから他のルートも交えて、その魅力について語っていきたいと思います。
ここまで見ていただきありがとうございました。
また見ていただけると嬉しいです。
↓他ルート
オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part1 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 感想 考察 西園寺風莉編 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 全編考察 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part2
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
前回の記事↓
前回の記事で書いたことではありますが、柚子と湊が恋人として結ばれてからの続きです。
優しくて、明るくて、見た目と違いお転婆で、
でも自信は無くて、不器用で、
そんなヒロイン像が見えてきたのではないでしょうか。
そしてここからの展開として欠かせないのが
えっちなシーンですね。
前の最初のゲーム紹介の記事にも書きましたが、
えっちなイベントが来る度に深まっていく距離が非常に美しいんですよ。
なんて言うんですかね・・・ただ単にそういうシーンが描かれているわけではなくて、それが一つのコミュニケーションとして描かれているんですよ。
これが素晴らしい。
こういうゲームでしか描くことのできないことだと思います。
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、やっぱり少し火照って高揚してしまう。
そのヒロインが魅力的に見える瞬間だなあと、
一般的に出回る18禁のゲームは割とそういうシーンの心理描写はおざなりにされていると言いますか・・・まだ全然初めて間もないエロゲプレイヤーが何を言っているのかという感じですが・・・シナリオ上あってもなくても変わらないって場合が多いと思うんですね。
しかし、このゲームは、是非、飛ばさないで見てください。
既プレイで飛ばしちゃったよって方や、性的欲求に負けてあまり深く文章は読んでなかったよって方はもう一度プレイしてみて頂きたいです。
こればかりは記事で詳細に書くことはできません。
自分の目で、耳で、そのヒロインの魅力を感じ取ってください。
少しシナリオ考察とは脱線した話になってしまいましたね、
元に戻しましょう。
どんどん仲を深めていく柚子と湊。
しかしここで一つ問題が発生します。
柚子がある日、ヒロインの一人の風莉が湊の写真を大量に持っていることを見つけてしまいます。それも盗撮の写真でした。
柚子はその理由は「風莉が湊のことが好きである」からだと理解しました。
柚子の胸の鼓動は不安で乱れていきます。
風莉にはかつて第二寮を用意してもらったり、普段から友達として仲良くしている柚子ですが、本気になってる湊のことを手放すことなどできません。
そこで柚子がとった対策が「二人がラブラブなことを見せつけ、諦めさせる」という方法でした。
しかし、それに対して風莉は・・・心からの祝福で迎え入れました。
風莉「一緒に暮らそうって決めた時のこと(第二寮のこと)、覚えているかしら。」
「あの日、あなたは言っていたわ・・・よく覚えてる」
「恋がしたいって、泣きながら言っていたのよ」
「あの時の願い、叶えられた・・・?」
柚子「求めていた以上に、素敵な恋です・・・幸せですから」
風莉「そう、願いが叶ったなら・・・よかったわ」
「湊をここに連れてきて、よかった」
(風莉さんの言葉を聞いて、本当に唐突に気が付きました)
(どうして、風莉さんが男の子を転校させるなんて、無茶なことを実行したのか。)
(今の私には・・・恋を知った私には、よく分かります。)
(好きな人の側にいたかった。)
(きっと、本当はただそれだけの理由・・・なんですよね?)
(私って、酷い・・・。なのに・・・私が悪いのに・・・。)
(そんな心から祝福するような目で・・・見ないで。)
風莉「あなたになら、湊を任せられる・・・。湊が寂しくて泣いているところ、もう見たくないわ」
「湊のこと、幸せにしてあげてね?私からのお願いよ」
私はこの時点まで「風莉が湊のことを好き」というのはミスリードだと思っていました。
しかし、ここまでの文章の隅々に読めるポイントは隠されていましたね・・・それは恋をした柚子の共感です。同じ人を好きになった人同士にしかわからない共通の思いです。そこから柚子は風莉の感情を読み取ることができたのでしょう・・・我ながら平凡なミスリードをしてしまいましたね・・・。
風莉が去った後、
柚子「私、最低です・・・」
風莉さんは、湊くんの・・・好きな人の幸せだけを考えていました。
なのに、私と来たら・・・。
「・・・結局、自分のことばかり」
変わっていないです・・・まともに家事一つ出来なかった頃と、何一つ変われていないです。
「自分が好きなものを作って、自分が気に入らないから後片付けもしないで、他の人の迷惑なんてまるで考えていなくて・・・」
きっとそれが、醜い私の真実なのでしょう。
矮小で、自分勝手で、思いやりなんて、上辺だけの女。
「こんな私・・・大嫌い・・・」
「こんな最低の女っ・・・湊くんに相応しくないっ」
風莉さんみたいになりたいって、憧れました。
好きな人が一番幸せになれるように。それだけを考えて──
「だったら、私じゃないですよ・・・ねっ?」
その後日、柚子は湊を呼び出し、こう続けました。
柚子「実は・・・前に来ていたお見合いの話なんですけど。お受けしようと思うんです。」
「そういう家に生まれてしまった以上、仕方がないんです。」
「だから、ごめんなさい。」
「・・・別れ、ましょうか」
「私、学園は辞めて・・・結婚します。」
「ですから、湊くんも私のことは忘れてくださいね?」
湊「な、何をバカなこと言ってるんですかっ!柚子さん、ボクのものになってくれるって・・・!」
「身も心もボクのものだって、そう言ってくれたじゃないですかっ!」
柚子「そうですね・・・言いました。でも・・・」
「ふふふっ、あんな言葉を本気にしていたんですか?恋愛と結婚は別の話に決まってますよ?」
「私、結婚する前に一度だけ恋愛ごっこをしてみたかったんです」
「でもここって女子校じゃないですか?手頃な相手なんていないですし、困っていたんですよね」
「そんなときにあなたが私の目の前に現れた。女子校なのに、同い年の男の子で・・・私に好意まで持ってくれていて」
「都合のいい話ですよね?弱味も握っちゃいましたし、いつでも後腐れなく別れられる・・・。恋愛ごっこにはぴったりです」
「うーん、まあ・・・嫌いではないですけどね?」
「湊くんのことなんて遊びに決まってるじゃないですか」
「正体をバラされたくなかったら。別れて下さいね?」
そして柚子は、誰にも本当の理由を話すことなく学園を去ることを決意します。
と、ここまでをpart2で話す内容としましょう。
私も流石に第二作目となりどこで切ればエンターテインメントとして魅力的になるか理解してきましたよ。
さて、今回のシナリオ考察ですが、非常に胸が苦しくなる内容ですね・・・
ここで勘違いして頂きたくないのが、最後の部分だけを切り取って柚子が最低のヒロインであるという風に読み取らないでほしいということですね。
一番最初に説明した通り、「柚子」というヒロインは自信がない、自分が嫌い、そして不器用であるということですね。
それ以前の話をしっかり読み込んでいれば柚子は友達思い、他人想いな心優しい人柄であるということは間違いないと考えています。
しかし、自分への嫌悪感から自分の理想像である風莉とずれてしまうことで自己嫌悪に陥ってしまいがちです。
人っていうものは「自分が嫌いな人間を演じる時」が一番非情になってしまうんですよね。
今の柚子にはそれが当てはまっていると思います。
自分自身はダメな人間だ、醜く、矮小である。そう思いながら言葉を出してしまうと今のような状況になってしまうでしょう。
なによりこのヒロインは不器用ですから、自分で勝手に考えて間違った方向に進んでしまうんです。
次に今回の問題のポイントについてまとめておきましょう。
・柚子は自分が湊に相応しくないことが理由で別れようと決意した。
・柚子の自己嫌悪は簡単に解決できるものではない
・しかし柚子の本当の気持ちは周りの人間には一切伝えていない
以上の三点が挙げられると思います。
これらのポイントを踏まえて湊がどう行動していくのか、お楽しみください。
それでは今回の記事はここまでとさせていただきます。
ありがとうございました!
次の記事↓
オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part1
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
オトメドメインの個別ルート最初のヒロインは
貴船柚子ちゃんです。
個別ルートが始まって早々に柚子ちゃんはなぜ湊が家を出ようとしたのか尋ね、
そして「湊が男である」ということを見事言い当てます。
今までの行為に反省し、深く謝罪する湊に対して柚子は
「怒ってなんか、いないですから・・・ね?」
「あなたが男の子でも、私は平気。これはその証拠です。」
「そんなに、怯えないでください。男の子でも女の子でも、湊さんは湊さんです。私の大切なお友達です。」
柚子の個別ルートに入って初めて触れる彼女の一面は
「優しさ」と「温かさ」です。
風莉の場合は元々男であることを理解した上で自分の学園に呼び込むために女装を要求したわけですが、柚子の場合はそうではなく初めから女の子として接していたわけですからこれが湊にとって初めて「女子校に来て、男であることを認められた瞬間」だったわけですね。
そんな優しい面もある彼女ですが・・・
「ふふっ♪それにこんな面白いこと、終わりになんてしたくないですよっ」
「女子校に女装男子ですよ?男のムスメと書いて男の娘ですよっ?誰にも知られちゃいけない、巨大な秘密と陰謀ですよっ?」
「それにそれにっ、すっごい弱みを握っちゃいました!」
「これでもう湊さん・・・いえ、湊くんは私の言いなりです!」
この見た目とは少し裏腹に結構お転婆なところがあって色々なものに興味が深々。
可愛らしい湊に対してはちょっとイタズラしたいと思うようなお茶目なところもあります。
何と言いますか、探求心と行動力がすごいんですよね。
一見大人しそうに見える彼女ですが夜の学校の屋上に登り、笑顔を見せるような娘です。
その無邪気さと麗しさに湊は惹かれるようになります。
そんな湊に対して柚子の方はというと、
柚子にとって男の子と接する機会というものは非常に少なかったようで湊に対しては興味深々。
二人はお互いに秘密を知っているという接点から一緒に行動するようになり、柚子はなんとなくではありますが湊のことが気になっていく様子です。
しかし、この時点では柚子は本当の意味で湊のことを好きになっているというわけではなく、単純に興味心で湊のことが気になっているというように見受けられます。
そんな彼女は湊の気をひくために家事の練習をし始めます。
そのためにみんなの勧めで最も身近なお手本である湊に家事を習うようになりますが・・・
最初にカレーを作る練習をするのですが、最後の最後で余計な手を加えてしまい、
「何もしないでくださいね」という湊の要望を裏切ってしまいます。
その後で柚子は「湊に嫌われたかもしれない」と酷く後悔します。
胸が痛み、嫌われたくないという今までに感じたことのない感情に気が付きます。
これが初めて柚子自身が感じた湊が好きだと思う気持ちだと思います。
柚子は湊に対して
柚子「こんな駄目な女の子が湊くんを振り向かせよう、何様だって感じですよね?」
柚子「今まで、付きまとったりしてすみませんでした・・・」
湊「あの、家事が苦手なくらいで、そんな自信をなくさないで下さいって!」
柚子「でも、私が嫌なんです・・・こんな自分は恥ずかしいって、湊くんには相応しくないって、そう思ったんです。」
柚子さんは天真爛漫なその姿とは裏腹に自信がない部分も持ち合わせているようですね。
そんな柚子に湊は、
湊「柚子さんは、今の自分が恥ずかしいって思ったんですよね?だったら、そのままでもいいんですか?変わりたいって思わないんですか?」
柚子「それは・・・できれば、まともになりたいですけど」
湊「柚子さんが本気でそうお望みなら、ボクの方も真剣に取り組みます。どこに嫁に出しても恥ずかしくない、家事の達人にして差し上げます。」
湊「ご自分が、その、ボクに相応しくないって思うなら・・・相応しい人になってくださいよっ!」
ここから柚子の行動がガラッと変わります。
湊の言うことをしっかり聞き、湊に毎日家事を習うようになりました。
それと同時に湊への見方も変わり始めます。
湊がいかに彼女たちのために料理、洗濯、掃除など
どれだけ彼女たちのために家事をしてくれているか。
それがいかに大変なことなのかを身をもって理解しました。
今まで気が付かなかったことに気が付きはじめ、
湊から多くのものを受け取っていたことに気が付きます。
そんな湊に、柚子はどんどん惹かれていきます。
しかし、どうしても自分と対比してしまい、自信のない柚子は
自分に何ができるのか、何が返せるのかと考え込んでしまいます。
柚子「湊くんは、すごいですね・・・」
「だって、何でも出来ちゃいます・・・。勉強も、運動も・・・、家事も完璧で・・・こんなに美味しい紅茶も淹れられて・・・」
「私なんて、何にも出来ないのに・・・」
「尊敬、しているんです・・・湊くんのこと」
「湊くんは、すごく私たちに尽くしてくれています。私、それに気が付いて・・・感謝もしているんです。」
「湊くん、いつもいつも、ありがとうございます・・・」
「美味しい紅茶をありがとう・・・綺麗なお部屋をありがとう。他にもいっぱい、ありがとうを言いたくて」
「でも、こんな言葉だけじゃなくて・・・私、恩返しがしたいんです。お礼がしたいんです」
「目を、閉じてください」
──これって、やっぱりアレだよね?
き、キスとか・・・されちゃう系の・・・
・・・
「も、もう・・・目を開けていいですよ・・・」
湊「え・・・?えええぇぇぇぇっ!?」
いや、ホントに何が起こってるんでしょうね・・・
湊「ちょっ、なな何やってるんですかっ!?」
柚子「こ、これが・・・お礼です・・・」
「私・・・他には、何もないんです」
「恩返し、湊くんにしてあげられること・・・。いっぱい考えましたけど、思いつきませんでした」
「私、本当に無能で、役立たずで・・・」
「でも、あの・・・おっぱいには、ちょっとだけ自信がありますから」
湊「いやいやいやっ!おかしいですから!」
柚子「私のからだじゃ、お礼になりませんか・・・?」
湊「そ、そういうことではなくて・・・!前にも言いました!えっちなことは好きな人とするべきで・・・!」
柚子「わ、私はっ・・・湊くんが好きです、よ?」
「当たり前じゃないですか・・・。好きでもない人と、えっちなことしようなんて思わないですっ」
「だ、だから、私の方は問題ないんです。それでも、駄目ですか・・・?」
「したくないのは、湊くんが・・・私のこと、嫌いだから?」
湊「あ、あのですね、柚子さん──」
「ボクも、その・・・好きです・・・」
「柚子さんのこと、好きです・・・!」
柚子「・・・本当に?」
湊「って、なんで疑うんですかぁっ!」
「この状況で嘘なんてつきませんよっ!本当ですからっ」
柚子「でも・・・私のどこが好きなんですか?」
湊「どこって・・・それは・・・」
柚子「一人だと、料理もお洗濯も出来ない女の子ですよ?私は自分が嫌いなのに・・・どこが好きになれるんですか?」
湊「柚子さんは、とても素敵な人です」
「初めて会ったとき、素敵な笑顔でボクのことを受け入れてくれました。」
「ボクが男だって知られたときも、嫌な顔ひとつしないで受け止めてくれて・・・」
「ボクは嬉しかったんです。ボクが柚子さんを好きになる理由には、十分です」
「柚子さんは、大和撫子なんかじゃ全然ありませんでした」
「ちょっぴり意地悪で、お転婆で、楽しいことが大好きで。最初に思っていたのとは、全然違う女の子でした」
柚子「ガッカリ・・・ですよね」
湊「いいえ?全然そんなことはなかったですよ」
「柚子さんには振り回されてばっかりで、側にいると大変で──でも、それが楽しくて」
「一緒にいると、毎日がわくわくするんです」
「それに、苦手なことも一生懸命な柚子さんは、とっても可愛いです」
「家事、全然駄目なのに、すごく頑張って克服しようとしていて・・・」
柚子「いっぱい迷惑かけてますけど・・・」
湊「案外、悪くないものですよ?手のかかる子ほど可愛いといいますか」
柚子「それ、恋人に向ける言葉じゃないですよ・・・?」
湊「あはは・・・そうかもです。でも、楽しかったんです。この数日間、ずっと」
──その言葉には、何一つ偽りなんてない。
一体どうすれば、言葉以外でこの気持ちを伝えられるだろう。
考えても、そんなの今の僕にはわからなくて。
湊「だから、ボクは柚子さんが好きです」
「駄目なところもいっぱい持っている、今の柚子さんが、大好き・・・すごく好きです!」
柚子「ぁ・・・ぁぅ・・・」
「今の私を・・・全肯定・・・?」
湊「はいっ、今の柚子さんがいいんですっ!」
柚子「そ、そんなこと言われたら・・・言われたら・・・」
「うぅ・・・嬉しくて、どうにかなっちゃいそうです」
湊「柚子さん・・・!大好きです、愛していますっ!」
ここまでが柚子個別ルート告白までのシナリオでした。
このゲームの良いところは、ヒロインの本当にいいところをしっかりと主人公が見つけてしっかりと伝えていく部分にもあると思います。
私自身がプレイしながらこの娘こういうところがいいなあと思ったところは全て湊が気が付き、その部分を好きになっているんですよね。
これは個人差があるものだとは思いますが、このシナリオを作った人がいかにこの作品のヒロインに愛を込めているかが分かります。
既プレイの方はもう一度改めてこの文章を見て「ああ、そうだなあ」と唸らされることもあると思います。
柚子というヒロインは見た目に反してちょっぴり意地悪で、お転婆で、楽しいことが大好きな女の子です。
しかし、それとは裏腹に自信がなく、自己嫌悪に陥りがちな性格も持ち合わせているようです。
そんな彼女に与えてあげるべきものは、肯定なんです。
人を好きになる理由なんてその人次第です。
湊は柚子のやさしさ、底抜けの明るさ、その行動力や探求心から好きになりました。
駄目なところがいっぱいあっても、そこもいいところだって肯定してあげる。
湊という主人公は最高の主人公なんですよね。
その行動すべてが人間として素晴らしいなあと思います。
確かに見た目は非常に可愛らしい男の娘なんですが、その実、行動はとても男らしいすばらしく魅力を持った主人公でした。
私が伝えたいこの作品の魅力っていうのはこの部分なんですよね。
「湊の決断」これが個人的なこのゲームの最大の魅力だと思います。
対して柚子というヒロインは先ほど説明した通りなのですが、
私がやはり一番着目したいポイントは
「不器用さ」なんですよね。
柚子はなんと言っても不器用なんですよ。
それはプレイした方はよーーーく理解して頂けていることかと思います。
この部分は柚子ルートを語る上で非常に重要なピースになります。
ここから柚子と湊はどういう結末を迎えるのか、
湊の行動にも注目して見ていただきたいと思います。
ここまで見ていただきありがとうございました。
次の記事↓
オトメ*ドメイン 感想 考察 共通ルート編
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
今回は共通ルートに関しての軽い感想の記事にしようかと思います。体験版のみでカバーしきれる範囲ではないのでご注意ください。
このゲームは本当にシナリオの構成がキレイなので共通ルートだけの話をした上でキャラの個別ルートの部分まで別の記事でお話をできると思ってこういう記事構成にしました。
では本編の話に入っていきましょう。
簡単なストーリー説明とおおまかなキャラクター説明は公式サイトを貼っておきますのでご参照ください。
やはりこのゲームで真っ先に気になる部分は主人公が男の娘だということですね。
女子校で生活するようになった主人公の飛鳥湊は女装して過ごさざるを得なくなったわけですが、それゆえにこの共通ルートではヒロインとの距離が非常に近いです。
それが一つ良いポイントですね。
巷ではこのゲームで一番人気なのはこの飛鳥湊くんのようで・・・
美少女ゲーム大賞2016キャラクター部門ではなんとグランプリを取ったとか・・・
確かにこの主人公はヒロイン性能が完璧なんですよね。
家事完璧、真面目、世話焼き、ちょっとツンデレ要素あり、反応が可愛いなどとこのゲームに登場する変わったヒロインよりよっぽどヒロインをしているという始末。
ですが私がここで言いたいのはそれだけがこのゲームの魅力ではない!ということですね。それをこのオトメドメインの感想記事で伝えていきたいと思います。
次にこのゲームに登場する変わったヒロインたちを紹介しましょう。
まずはこのゲームのメインヒロイン
「西園寺風莉」さん
でました、本作切ってのぶっ飛ばしヒロイン。
ゲーム開始早々にペットボトルに放尿をかまし、プレイヤーに大打撃を与えるその張本人です。
この画像を見ただけでこのゲームが他のゲームと一線を画しているということがよくわかりますね。
とりあえずこの女の子は常識外れすぎて思考回路、行動や感情などが支離滅裂で意味不明。
プレイしているときは主人公もプレイヤーも戸惑わずにはいられないでしょう。
ですがこう見えても家はお金持ちのお嬢様。
本人も通っている女子校の理事長を務めています。
おばあさんを亡くしたことで天涯孤独の身となった主人公をかつておばあさんがメイドとして家に勤めていたことから主人公を女子校に引き入れた人物です。
このヒロインは確かに奇抜な行動や発言に目が行ってしまう͡娘ですが、その魅力は何事にも全力であるということですね。
そして主人公とは「おばあさん」という過去のつながりを持つ唯一のヒロイン。
この娘が個別ルートでどんな物語を巻き起こすのか・・・
想像もつきませんね・・・
次に家事ダメダメ芸人
「貴船柚子」さん
なぜそんなに家事ができないのか・・・
そして何よりなぜそんなに自信満々なのか・・・
公式から「大和撫子だけどメシマズお嬢様」と言われてしまう始末。
ちょっと・・・いやかなり残念な女の子ですね。
家事ができないだけならよくないか?と思うのですが、自信満々の彼女は積極的に家事をしようとするので何をしても事故が起こってしまうんですよ・・・
そのせいで元々寮で暮らしていた柚子はある日料理をしたところ寮の中で悪臭が発生し追い出されてしまうということもありました。
それが原因で主人公たちが住む第二寮が作られたという経緯もあります・・・
基本的には可愛いお姉さんキャラで、見た目は完全にお嬢様・・・
なのですが・・・その中身はアグレッシブなお転婆娘。
なにか面白そうなことがあると何でも突っ込むヒロインです。
そんな彼女が物語でどう突っ込んでいくのか楽しみなところですね。
次に中二病ヒロイン
「大垣ひなた」ちゃん
見た目からわかる通り中二病で自分のことを
ヒロインの中では一人だけ年下の後輩です。
しかしながら根が本当にいい子なのですぐ中二病モードが解けてしまうという昨今増えてきた中二病キャラとしても少し残念な娘です。
中身は甘々な娘で、共通ルートで一度湊に助けられて以来湊のことを「おねえさま」と呼ぶようになります。
最近増えてきた中二病ヒロインですがこの娘はどんなお話が繰り広げられるのでしょうか。
これだけを見るとこのヒロインたちどこがええんや・・・って思うかもしれませんが
それは個別ルートをお楽しみにということでよろしくお願いします。
共通ルートではそんな彼女たちと女装をする彼が一緒に馴染んでいくまでが描かれています。
彼女たちは元からそれなりに問題を抱えていて、湊がやってきて一番の変化を与えるのがやはり第二寮の生活についてです。
お婆さんがメイドをしていたことから家事が完璧な湊。
おそらくこれから一人でも暮らしていけるように家事を叩き込んでいたのだと思いますが一般的な学生とは逸脱している家事能力の持ち主です。
第二寮は湊を除きヒロイン三名と顧問の先生の計四人で暮らしていましたがご飯は適当に出前を取ったり掃除もおざなりとなんともよろしくない状態でした。
世話焼きである湊はこの状況に耐えられず家事全般等を管理することになります。
これにより第二寮の生活は一変し、毎日湊が朝ごはんを作り、弁当も湊のお手製。
夜ごはんも当然湊が作ってお風呂の用意や掃除洗濯等もすべて湊が受け持つようになります。
ここはちょうど必要とされているところに収まったという感じでしたね。
次にヒロイン達の問題も少し明らかになります。
柚子は家事ができないというのが一番明らかな問題点ですが、
他の二人もそれなりに問題点を抱えていて、
例えばひなたちゃんはその趣味としゃべり方から当然のように女子校で馴染めるはずもなく、クラスで一切馴染めていないという状態です。
共通ルートではそのことに関して湊たちが友達を作ろうとひなたちゃんのために協力する機会があったのですが、彼女はそれなりに自分がどういう立ち位置なのか理解しているようで、自分の趣味が合わない人と友達になったとしても自分がいるだけで趣味の話ができなかったりするのは違うのではないかということで結局その問題は解決しないまま終わってしまいます。
彼女が非常に人想いの人間であるか、どれだけ自分のことを理解しているかということがわかりますね。
しかし男の子のような趣味を持つひなたちゃんは湊に対してはこの学園に来て以来初めて少し心を開ける人間のようで、趣味やその恰好を見ても嫌なそぶりを一切見せない湊のことを親しく思い始めたようでした。
また先ほどもキャラ紹介で話していたのですが湊に助けられたひなたは湊をおねえさまと呼び一気に距離が近づいてきてその甘えん坊な年下らしい部分も見せるようになりました。
この辺が個別ルートでどう効いてくるかが見どころですね。
もう一人の風莉さんが一番共通ルートで変化を魅せるキャラクターです。
風莉さんはその理事長という立場から「自分が学生と仲良くするのは贔屓しているように見えるのではないか」ということで普段の生活では同じ寮の女の子たちとも学内ではあまり仲良くしないように心がけていたようでした。
また、こう見えて成績が非常によろしくなく、それは理事長というイメージからかけ離れているためそのことは周りの生徒に隠していたようです。
学内で本当に仲良くできる友達がいなかったという現状ですね。
そこに湊が一歩踏み出して、まずは湊が風莉の最初のお友達になるところから風莉の変化は始まります。
ときに二人は衝突することもありながら風莉は成長し、自分を周りにさらけ出せるようになります。
ここまでヒロインの問題やその解決についても語ってきましたが、主人公にも問題があり、それは当然主人公が女装をしている男の娘だということです。
女子校で生活する中で自分が男であるということを秘密にしてヒロインたちをだましていることや男であることから存在そのものが迷惑になってしまっていること。
過ちを犯して、そして深く、実感してしまう。
自分が乙女の学園の中で、いかに異質な存在なのか。
やっぱりボクは・・・
──こんな場所に存在してはいけなかったのだ。
この辺りがこのゲームをとてもまじめに作っているなあと思うところで、
こういうシチュエーションを凝った作品はこのような感情的なものが置き去りにされていて違和感を感じる部分が多々あるのですが主人公が今の現状を真摯に受け止めてそれがダメだと考えているところは非常に良い部分だと思います。
シチュエーションにリアリティが生まれますよね。
他の人とも打ち解けてきた風莉さんを見て、
──きっと今、何かが変わった。
風莉お嬢様は、たぶん、もう大丈夫。
・・・ねえおばあちゃん
・・・僕はお嬢様の力になれたのかな?
だとしたならば、もうこれで、僕のお役目は・・・。
この問題の一番重要な部分は解決する術がないということですね。
主人公が男であるということ、その事実は変わりませんし、
その対策をすることも難しいです。
そしてなにより湊自身がここにいる意味を失っていること
この部分があり、湊はこの学園を去ることを決意します。
・・・ごめんなさい、風莉さん
黙って出ていこうとする湊ですがなにやら物陰からひそひそ声が、
ひなた「(クク・・・来たっ!まだ気づいておらぬぞっ)」
風莉「(ひなた・・・声が大きいわ)」
ひなた「(ごめんなのだ・・・そ、それより)」
風莉「(ええ・・・準備は万端よ)」
柚子「(それじゃ、行きますよー?せーのっ)」
湊「なんの騒ぎですかこれ」
風莉「何って、ちゃんと言ったわよ?」
ひなた「本当に忘れちゃう人って存在したんだ・・・」
風莉「今日は湊の誕生日でしょう?」
ひなた「ほら、お姉さま♪準備万端だから、こっちきてっ♪」
嬉しそうに駆け寄ってきて、
ひなたさんが僕の手を引っ張ろうとして──
・・・でも、それで気づかれてしまう。
ひなた「おりょ?お姉さま、この荷物何?」
湊「あ・・・こ、これは・・・」
引きずっていた荷物を、慌てて体の後ろに隠そうとする。
・・・でも手遅れだった。
湊「あの・・・皆さんに、大事なお話・・・が・・・」
風莉「え・・・」
・・・あれ、おかしいな。
なんでだろう・・・?声が、出てこない。
ひなた「あ・・・わわっ、お姉さまっ?」
柚子「泣いて・・・いらっしゃるんですか?」
・・・え?
──言われて、ようやく僕は気が付いた。
湊「あれ・・・?あれ?」
「な、なんで・・・。どうして、ボク・・・」
どうして泣いているのか、自分でもよくわからない。
ただ突然、胸が苦しくて──
そして唐突に、蘇る。
湊の母「ハッピーバースデー、みーちゃん!」
湊の父「・・・おめでとう、湊」
ずっと昔・・・お父さんとお母さんが、言ってくれた
祖母「大きくなったねえ・・・おめでとう、湊」
一年前の今日、おばあちゃんも言ってくれた。
二人きりで、お誕生会を開いてくれた。
湊「あ・・・あ・・・」
おばあちゃんの手の感触を、はっきりと覚えている。
・・・思い出して、しまった。
得体のしれない何かが、ずっと見ないようにしていた
その感情が、いきなり胸の奥から迫りあがってくる。
駄目・・・無理・・・。隠せない・・・あふれちゃう・・・。
湊「こんなの・・・ひどい・・・です・・・」
「おめでとう・・・なんて・・・そんなこと、言わないでください・・・」
「えぐ・・・っ、ボクに、優しくしないで・・・っ」
「だって、嬉しいから・・・!いろんなこと、思い出しちゃうじゃないですかぁ!」
幸せな記憶を、思い出して。
それを失ったことまで、思い出してしまって。
湊「ご、ごめ・・・なさい・・・、ボク・・・ボクはっ」
「あ・・・あ・・・、ああああぁぁ・・・・・!!」
──ずっと我慢していたものが、堰を切る。
止めようと思っても、熱い液体が目から溢れてしまう。
考えてみれば、おばあちゃんが死んでから、初めてだった。
湊「なんで・・・っ!今になって・・・!おばあちゃん・・・!お父さん・・・おかあさぁん・・・!」
今まで泣かずに我慢できていたのに、本当にどうして。
──僕は、一人ぼっちだ。家族なんて、もう誰もいない。
だから、一人きりで、強く生きていかなければいけないのに。
目の前に、与えられてしまった。
お誕生日おめでとうって、みんな嬉しそうに、
本当に気持ちを込めて、みんなが言ってくれた。
それはまるで、本当の家族のように思えてしまって。
無くしたはずの、諦めていたものを、見つけてしまって。
決して気づいてはいけなかったものなのに。
湊「こんなのっあんまりです・・・!だめっなのに・・・!」
「誰か、たすけてよぉ・・・。ひぐっ、あああああ・・・!」
取り乱して、もう泣くことしか出来なくなる。
子供みたいに、救いを求めて、みっともなく泣きじゃくる。
風莉「湊・・・、私、どうすればいいの・・・?」
湊「風莉・・・さん・・・、えぐっ、ああ・・・っ」
揺らいでいた感情が、引き付けられていく。
湊「ボクは・・・ボクは・・・、ぐすっ、でも・・・!」
風莉「いいから・・・言ってみて?」
そんなの、言ってはいけない我儘だ。間違っている。
湊「ぼ、ボクは・・・ここで・・・っ、みんなと、一緒に・・・!」
「ボクは、ここにいたいです・・・!このままずっと!」
きっと優しく受け止めてもらえるだろう。
そうして僕は、そのぬくもりに余計惑わされていく。
そんな予想をした、けれど。
風莉「・・・ねえ。私、少し怒っているわ」
湊「ふぇ・・・かざり・・・さん・・・」
風莉「勝手にいなくなるなんて、許さない」
少し高圧的な言い方に、むしろ救われたのかもしれない。
なぜならそれは、選択を求めていないから。
理性も、常識も・・・風莉さんが僕から取り上げてくれた
風莉「あなたは、私たちの側にいて。これは命令よ」
湊「ぐすっ、はい・・・、はい・・・!」
風莉「本当に、しょうがない子ね・・・。このままでいたい?
そんなの、いいに決まっている。当たり前でしょう?」
「だって、私たち・・・あなたのことが大好きよ?」
・・・・・
ここで共通ルートが終わり、個別ルートに入っていくわけですよ・・・
では少し考察していきましょう。
まずは今回の湊の問題点は先ほど述べたようにどうやっても解決できない問題です。
さらに風莉さんの人間関係の問題も解決し始めて、ここに存在している意義さえ見失いかけている湊。
そんな彼にふいに与えられた誕生日のお祝い。
昔の楽しかったころを、そしてそれを失っているという現状も思い出した湊。
そんな彼は涙が止まらなくなってしまいます。
そんな彼がなぜ「たすけて」と言ったのか、それは今まさにそれを失ってしまうからです。
家族のような温かい人たちに祝われて、しかしそれを今から失わなくてはならなくて。
それが同時に来ているから、助けを求めているのです。
アニメやゲームの主人公では天涯孤独という設定はよくありますが
あまりその部分を感傷に浸っている主人公はいませんよね?
このゲームはしっかりとその部分を描いているのです。
これは私の中ではとても素晴らしい評価ポイントでしたね。
今まで小さい感情表現はあったけれどもあまり強い感情を見せてこなかった湊がここのシーンで初めて強い感情を見せるわけです。
次にここにいたいと言った湊に対する風莉の発言について、
だいたいこういう状況に陥ってる人間に考えさせてしまうと良いことはないんですよね。
身寄りがいないその孤独感に常に苛まれている彼にこのままここにいてもいいのか?と考えさせても今回のようにネガティブな発想に陥ってしまうことが多いでしょう。
ここにいてもいいと認められたとしても、また考えてしまったときにやはりここにいてはいけないという考え方になってしまうと思います。
だからこその風莉の発言「あなたは、私たちの側にいて。これは命令よ」があるわけです。
湊に考えさせるのではなく、あなたがここにいたいのであればいてダメなわけがない。だからあなたは何も考えずにずっと私たちの側にいなさいということです。
いやーーーーーすばらしい。
この作品のスゴイところは感情表現の描写が非常にキレイで生々しいところなんですよね。
私はこういう部分こそがキャラクターを輝かせるのだと考えています。
共通ルートだけでここまでキレイなお話を聞かされて、
個別ルートが期待できないわけがないですよね!?
実は割とこの共通ルート自体と個別ルートの構成は似通っていて、
仲良くなる→問題発生→解決に導く
という流れで進んでいきます。
この構成も完成されていて非のつけようがありませんでした。
彼女たちに救われた湊が個別ルートで彼女たちを救い出す。
そんなお話です。
ちょっぴり残念な彼女たちですけれど、
そんなところも好きになってしまいますよね。