感想レビュー 第3作目:ノラと皇女と野良猫ハート2(ノラとと2)
お久しぶりです。lowhigh物と申します。
随分長いこと記事をかけなくてすみません。
今はリアルの方が少し余裕が出てきましたのでまたブログ活動を進めていこうと思います。
さて、今回記事にしていくのは
「ノラと皇女と野良猫ハート2」
私が初めて記事にしたノラととの続編となる作品です。
この記事を描いた時点では共通ルートまでしかプレイしていません。
そこで、この記事では共通ルートまでを踏まえての感想等を書いていこうと思います。
しかし今の時点でこのゲームは記事を書きたいと思うほどの作品だと思っています。
共通ルートをプレイした上での感想ですが、前作の「ノラと皇女と野良猫ハート」の続編としては正統な進化を遂げた続編になっている印象でした。
前作の簡単な感想については以下の記事を見ていただければと思います。
前作から変化したポイントはまず一つ「演出」にあると思います。
映画のように動く綺麗な演出には驚かされました。
これが個別ルートでも見られるのであれば、ノラととの世界観をより動きのある描写で表現できるはずです。
今の時点で少し楽しみなポイントですね。
もう一つのノラとと2の注目するポイントと言えばやはりその「ヒロインたち」にあるでしょう。
攻略ヒロインは
「忘れられた国の皇女」
「任侠一家の娘」
「皇女を継ぐことが出来なかった長女」
「皇女を姉にもつ三女」
この4名だと思われます。
私はこのヒロインたちとこのゲームを見た時に初めて思った印象は
「いままで陰の中で暮らしてきたような人たち」がヒロインになっているゲームだと感じました。
ノラとと1の時のヒロインは、確かにストーリーに暗い面が多かったのですが、ヒロインたちは「ヒロインになるべくしてなったようなキャラクター」が多かったと思います。
言うなれば、ノラとと1では「光に差す陰のようなシナリオ展開」でした。
しかし、ノラとと2のヒロインたちはその1で選ばれなかったキャラクターや、「忘れられた国」といういかにも暗い設定のキャラクターのみで構成されています。
その暗い世界で生きてきたノラとと2のヒロインたちは明るい世界で生きてきたノラとと1のヒロインたちとは全く違う感性をもって生きているはずです。
ノラとと1で見た悲しくも勇気のあるストーリー、それがこの暗い世界の中でどう変わっていくのか。
特にその陰の描写は前作でも非常に評価しているところなので期待してならない作品ですね。
以上の2点が共通ルートをプレイした上で1作目と比較したポイントです。
このゲームもプレイし次第自分なりの考察を記事にまとめていきたいと思います。
ここまで見てくださりありがとうございました。
考察記事の方も見ていただけると嬉しいです。
少しできるまで時間が掛かりますが、更新頑張ります。
↓以下個別ルートの考察記事
・ユウラシアルートの考察記事はありません
・ノブチナルートはいい話だったとは思いますが恋愛ゲームとは言えないシナリオだったので記事はありません
※このブログを読むにあたって
このブログを読むにあたって
初めてこのブログを見に来てくださった方、ありがとうございます。
このブログは恋愛ゲームや美少女ゲームのシナリオ考察をするブログです。
簡単な紹介等の記事も書いていますが基本的には既プレイの方向けに記事を書いていますので、是非購入してプレイされてから見ていただけると嬉しいです。
特に未プレイの方はこのブログを見ることは非推奨です。というのも初めてプレイするゲームは自分の感性を大切にしてほしいからです。
このような考察ブログを先に読んでしまうと先入観でゲームをプレイしてしまうことになります。
ゲームからの引用が非常に多くなってしまいますが、それは細かくこの部分のシナリオがどのような意味を表しているのか考察したいということと、わざわざゲームを起動してシナリオの確認をすることなく見られるように書いているだけであり、未プレイの人でも理解できてしまう面についてはそのことを推奨していないということだけはここに明記させていただきます。
私自身の考察等を見ていただき、こんな理解の仕方もあるのかと思っていただくためにやっているのであり、それが最初の印象にきてしまうのと作品が先に来るのとでは違うものだと思います。
興味を持たれた方は是非先にプレイして頂きたいと思います。
オトメ*ドメイン 全編考察
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
それではこのゲーム全体の考察をさせていただきます。
最初に言っておきましょう、このゲームは素晴らしいです。
どこが素晴らしいかって、真の意味でヒロインに向かい合っているから素晴らしいんですよ。
前にも紹介したと思いますが、このゲームは「残念なヒロイン」がキーポイントの一つにあるわけです。
もし、仮に話題をかっさらうために男の娘主人公と残念ヒロインを登場させて普通のシナリオだったらおそらく私はこのゲームをこのような記事にしていないでしょう。
どういうことか、もう少し言及しましょう。
「ちょっとヘンテコだけど可愛いヒロインだから許せてしまう」
この程度の認識でシナリオが続いていたら私はここまで肯定的な記事にしないということです。
このゲームの主人公、湊は非常に一般的な感性を持った主人公なんですよ。
変なヒロインのことをこのままではいけないと思っているし、本当にそのヒロインのことを想って、悩んで、行動してくれるんですよ。
これこそがマイノリティなヒロインを本当に愛してあげるシナリオだと思います。
柚子ルートでは家事をできるようになるまで付き合い、自信がない柚子を救い出しました。
ひなたルートではひなたの中二病にずっと付き合う存在になり、ひなたの本質を見出し大人の振る舞い方を示しました。
風莉ルートでは、共にひとつひとつ成長していきながら、風莉は皆に慕われるような理事長になることができました。
本当にこのゲームはキャラクターに対して非常に真摯に作ってくれている印象があります。それが本当に評価が高いポイントなんですよね。
そして上記の内容があるからこそ湊は非常に魅力的な主人公なんですよ。
まっとうに悩み、そしてヒロインを愛して、最後に最高の結末を持ってきてくれる。
私が今までやったゲームの中で最も筋の通った主人公だと思います。
そして湊のキャラクターが非常に繊細に作られているんですよ。
主人公のキャラクター性が必要なのか?という話になってしまいますが、私はエロゲ―であるからこそ主人公のキャラクター性というものは非常に重要なものであると考えています。
それはなぜか?選択肢が以上に少ないからです。
自分の選択が話につながらない以上、その話を決めていく主人公のキャラクターがうまく作られていなければストーリー進行はあやふやになってしまうと思います。
それゆえに魅力のある主人公を作れるかどうかは重要な要素となるでしょう。
その点から考えて湊という主人公は素晴らしいんですよ。
見た目こそ可愛いですがその行動は芯が通っていて男らしい。
そしてラストでしっかりと決めてくれる。
これがこの作品の魅力一つです。
さらにシナリオ構成が非常にキレイで完成されていることも魅力の一つとして挙げられるでしょう。
このキレイなまとめ方は素晴らしく、ストーリー展開に不要な部分が少なく読みやすい文章で、ミドルプライスのゲームにここまでのシナリオを作り込めるのは並大抵のことではないと思います。
そしてもう一つはえっちシーンでの表現が素晴らしいということですね。
本当に愛情表現という意味でえっちシーンをすごく上手く描けていると思います。
少し恥じらいがありつつも好きな女の子と繋がれてうれしい気持ち。
しかしながらやっぱり照れて火照ってしまう。
好きな女の子を大切にしてえっちする場面がキレイに描かれています。
これは18禁ゲームだけにしか表現できないことだと思うんですよね。
ヒロインの本当に可愛いところを堪能できる素晴らしいシーンが一杯でした。
ただしこれに関しては主観的な意見が強いので何とも言えませんね。
他の刺激が強いえっちシーンをたくさんプレイされてる方では退屈に思えるかもしれません。
とりあえず私は愛情表現がすばらしいと感じたということです。
そして追加パッチについてひとことだけ言及させてください。
確か人気投票で1位になったことから追加パッチとして風莉視点で湊とえっちをするシーンが描かれたものでした。
しかしこれはただ単に話題性をかっさらうものという認識だけではなく、偉大な新規性を持った切り口になっていると私は思うんですよね。
それはなぜか、「えっちシーンのヒロインの心情を直接的に読み取ることができるから」ですよ。
私は男の娘もののゲームをするのがこのゲームが初めてだったんですが今までにこのような視点でえっちシーンを書き上げたゲームはあったんでしょうか?まだ知識が豊富ではないためそこまで言及することが出来ないのですが、斬新な表現ですよね。
本来えっちシーンではヒロイン視点になるとビジュアル的に耐えられないものがあるわけですが、男の娘という属性で補完することでそれが可能になるんですよね。
そしてそれによりえっちシーンのヒロインの心の声を聴くことができるという男の娘の最大クラスの活用法ではないかと思ったわけですよ。
そういう意味でこのパッチは非常に素晴らしかったと思います。
というわけで、このゲームは全体的にバランスがよく良いゲームだったと思います。
特にコレという致命的な欠点はなかったように感じますね。
ヒロインの魅力もあって、シナリオも読みやすい上に読み甲斐がありました。
二回目プレイしても楽しいと思える作品です。
これがエロゲプレイして2作目ですがいい作品に出逢えたと思いました。
これからもいろんな作品をプレイしていきたいところですね。
ここまで見ていただきありがとうございました。
また次回のゲームの記事も見ていただけると嬉しいです。
オトメ*ドメイン 感想 考察 西園寺風莉編
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
皆さん長らくお待たせいたしました。
オトメ*ドメイン最後の個別ルート西園寺風莉さんの記事です。
ただ・・・このルートのシナリオはわかりやすいので考察の余地がなさすぎる!!!
前回のゲームノラと皇女と野良猫ハートの夕莉シャチと同じ現象が起きましたね・・・
あっちとはまた少し違った感じの考察する余地がないって感じですけどね・・・
まあ要はわかりやすいんですよ。
思考回路こそ意味不明な風莉さんですが、感情表現をストレートに伝えてくるので考察の余地がないんですよね。
ですが、おそらくこういう風にストレートに伝えてくれなければ風莉さんの思考を読むためにはかなり長いことプレイしないといけませんからハーフプライスのこの作品では寧ろこのような方法を取る方が妥当と言えるかもしれませんね。
さて、私がこのルートをプレイした印象ですが、
「この二人のために作られたゲーム」
という印象が強かったですね。
他のルートも素晴らしい心理描写とシナリオだったと思いますが、このルートに関しては世界観そのものがこの二人のためにできているようなものだったのでその点から考えて二人のためのゲームということですね。
このルートを一言で説明するならば・・・
「世にも不思議な初恋」って感じですかねえ・・・
このルートの一押しポイントと言えばイラストの美麗さですよね。
このルートのイラストは他のルートより一際力が入っていて素晴らしいの一言に尽きますね。館川まこ先生のイラストが素晴らしいですよね・・・
そしてこの風莉ルートのシナリオ構成はジェンガのようにひとつひとつ、積み上がっていくんですよね。
そして遠くから見てみれば、過去に積み上げたものの上に出来上がっている。
そんな感じです。シナリオ構成の出来がキレイです。
このルートをプレイした人で
「いや、こんなにやろうとすること上手く行くわけないでしょw」
って考えた人はいますでしょうか。
そう考えるのは少し早とちりと言えるかもしれません。
この物語の最初を思い出してほしいんですよね。
風莉さんは理事長として他の生徒と距離を取って接していた風莉さんが共通ルートで変わり始めて、個別ルートに入ってからたくさんの努力をしてきた。学校のために、一人の生徒のために行動してきたんですよ。その努力は決して無駄ではなかった。
その努力が、人としての魅力が人の心を動かし、結果に繋がったんですよね。
風莉さんはこのゲームが始まってから明らかに変わり始めている。
その側にずっといたのが湊なんですよ。
湊と再会し、湊と暮らし始めて、湊と恋をして。
そしてここまで成長してきた証なんですよ。
つまりこのルートには一切無駄は無いんです。
素晴らしい人情物ストーリーだと思います。
まあわかりやすいのでそこまで説明する必要もないと思いますけどね。
一人ぼっちで寂しかった僕たちだけど、
こうして大切な人と寄り添って、手を繋いでいれば──
きっと、どこまでも歩いていけるだろうから。
風莉さんルートの紹介記事はここまでとさせていただきます。
いやーこのゲームのメインルートに相応しいシナリオだったと思います。
次回はオトメ*ドメインのまとめの記事を書かせていただきたいと思います。
ここまで見ていただきありがとうございました。
また見ていただけると嬉しいです。
↓他ルート
オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part1 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part1 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 全編考察 - lowhigh物のゲーム見聞録
オトメ*ドメイン 感想 考察 大垣ひなた編part3
※注意 以降、ネタバレ要素を含みますので未プレイの方はご注意ください。
↓前回の記事
前回の事件からお嬢様モードで過ごすようになったひなた。
それは事情を知っている湊にとってはただならないことで、あれほど人形に戻るのは嫌だと言っていたひなたが今そう振る舞っているわけですからそれが世間からみた成長であったと理解しても納得することはできないでしょう。
ある日湊はひなたから求められたところを断ってしまいます。
ひなた「どうして、何もして下さらないんですの・・・?」
湊「今のひなたさんは・・・別の人みたいに思えるんです。」
ひなた「わたくしは・・・大垣ひなた、ですわ・・・」
湊「分かっています。でも・・・ボクの中では別の人なんです」
湊「今のひなたさんも、素敵だと思います。好きだって言ってもらえるの、嬉しいです・・・。最初から恋をやり直したら、また好きになると思うんです。」
「でも、ボクが好きになったひなたさんとは、別の人に変わってしまったから・・・」
ひなた「・・・大人になるのは、変わることだと思うんです。」
湊「・・はい」
ひなた「今さら、元には戻れない・・・ですわ・・・」
ひなたさんは、大人になってしまった。
彼女には、今さら子供に戻るつもりはないし、僕も戻るべきだとは思わない。
だから・・・だから・・・。
ひなた「今のわたくしを受け入れて頂けないなら・・・。仕方がないですわ・・・。」
「わたくしは今も・・・お慕いしていますわ」
「好きです・・・。でも、お姉さまが嫌になったのなら」
「ふふ・・・、いつでも、お別れを言って下さいね?」
・・・
ここは非常に重要なポイントですよね。
このゲームに登場するヒロインはなにかしら変わったところを持っているヒロインしかいないわけですがひなたは残念なポイントという意味では一番平凡なヒロインかもしれません。
しかし、このゲームの中で一番周りの人間に溶け込めていないのは間違いなくひなたと言えるでしょう。そんな彼女が今こうして周りに適応できている。それを言葉一つで止められないと思うんですよ私は。
確かに事情を知っている人からすれば今のひなたが最も良い状況であるとは言えません。それは当たり前です。ただ今ここで「元に戻ってください」というのはあまりにも残酷すぎると思います。
それは相手のことを本当に思いやった言葉ではなくただのエゴ。
自分が好きになった女の子が変わってしまった、だから戻れ。
それはこちら側の単なる欲望でしかないと思うんですよ。
戻ったところで周りに溶け込めていない状況は変わらない、そうしたら誰が責任を取ってくれる?その覚悟は?
本当に彼女のためを思ったとすればここで元のひなたさんに戻ってくださいなんて言葉は言ってはいけないと思います。
それはこのもう少し後のクラスメイトとの会話を見てもわかることでしょう。
それゆえに今の湊の葛藤というものは妥当なものだと思います。
決して軽い気持ちで「元に戻ってください」という言葉は発していないんですよね。
ただ、今の彼女では答えることができないという否定だけをしている。
少しふっ切れないところはあるかもしれませんが、ひなたのマイノリティをしっかり理解した上での行動だと思います。
・・・
部屋に戻ってきた湊は風莉と相談を始めます。
風莉「本当に・・・湊って、いい子だと思うわ」
「誰にでも優しくて・・・尽くしてくれて。他の人の幸せとか、将来とか、そういうところまで大事にしてくれて」
「そんなあなたは、きっと正しいのだと思うわ」
「だけど、時々はいいんじゃないかしら?」
「我が儘を言っても。間違ったことを言っても、いいと思うの」
「ねえ、教えて?あなたは、何を望んでいるの?」
「あなたの幸せは・・・どんなこと?」
湊「身勝手・・・ですけど・・・。元の、中二病のひなたさんに戻って欲しい・・・です。」
「ボクが好きになった、ちょっとおかしな女の子に、戻って来て欲しいです・・・」
「変わってなんか・・・大人になんてなって欲しくない!」
風莉「そう。なら、あの子には元に戻ってもらいましょう」
間違いだらけの本音を、風莉さんは至極アッサリと肯定してくれた。
風莉「ひなただって、以前の方がずっと楽しそうだったわ。だから私も、その方が良いと思うの」
湊「はい・・・、はいっ!」
・・・
ここで多くのプレイヤーが望むであろう結末を「間違い」とハッキリ言えるところ、素晴らしいと思います。
やはり風莉さんは自身のルート以外すべてで湊の最後の一押しをしてくれるんですよね。他のゲームでいうところの親友ポジションが風莉に変わるのだと思いますがホントにいい味出してるんですよこれが・・・
さて、そんな風莉が間違いといったその湊の本心。
湊本人が「身勝手」と言っているのが非常に印象的です。
先ほどひなたに直接言えなかった、言ってはいけなかったその言葉を引き出し、物語は最終局面へ向かっていきます・・・
・・・
突然風莉に体育館へと呼び出されたひなた
ひなた「あのぉ・・・風莉お姉様・・・?」
「な、なぜ真っ暗なんでしょう・・・?すみません、誰かいらっしゃいませんか・・・?」
「あら・・・?舞台の方で・・・何か・・・」
どうやら僕の気配に気づいた様子。
ちょっぴり不安そうに、一歩、二歩と近づいてくる。
・・・さあ、いよいよだ。
本当にこんなことで解決するのか。正直なことを言うと、自信なんてあんまりない。
ドン引きされたら、恥ずかしいだけの黒歴史になると思う。
──でも、きっとそれでもいいのだろう。
だって、今の僕が求めるものも、ただ恥ずかしいだけの黒歴史なのだから。
ひなた「すみません、これって一体・・・」
そして、決めてあったラインを──彼女は踏み越えた。
湊「ククク・・・ハハハッ!!!よくぞここまで辿り着いた!東方将軍ツァラトゥストラよ!」
ひなた「ふにゃっ?えっ・・・ええっ・・・?」
湊「我が名は魔王ミナト!!!千年の眠りを経て、今こそ目覚めの刻を迎えた・・・!」
「四天王が一人、東方将軍よ!我に従え!今こそ明かそう──我こそがそなたの主であるっ!!!」
ひなた「~~~~っ!か、カッコいいのだっ!」
湊「フ・・・、我がカッコイイ・・・?そのようなこと、当たり前であろう──」
「しかし、我が暗黒の波動は流石であるな。こうも簡単に干渉できるとは、クク・・・」
ひなた「干渉・・・と申されますと・・・」
湊「そなた、真の姿を取り戻しつつあるだろう?」
ひなた「へっ・・・?」
「あ・・・あ・・・」
ちょっと混乱した様子で、自分のほっぺたをつまんだりしてあたふたするひなたさん。
我に返ってしまったらしく、大きく深呼吸をして、
ひなた「・・・これは何のお芝居ですの?」
「お姉さま・・・恥ずかしくないんですの?」
湊「恥ずかしい・・・?恥ずかしいだと?そなたはそう尋ねたのか?小さき者よ・・・!」
「恥じらいなど・・・!!初めてスカートをはいたあの日に捨て去ったわっ!!!」
「あの日の屈辱に比べればっ!むしろ今の我は最高だっ!カッコイイ・・・!可愛いなどと言われたくなかったっ!」
ひなた「な、何も言えませんわっ・・・」
湊「だが、そんな我に比べて・・・今のそなたはどうだっ!忌むべき姿ではなかったのか?己に満足していると断言できるのかっ!」
ひなた「・・・それは」
「・・・それでも、これでいいんですの」
「お姉さまも、わたくしも。大人になりましょう・・・?下らない演技は、もうおしまいですわ」
湊「笑止ッッ!!!!」
「愚か者がッ!今のそなたが演技をしておらぬとでも?かつて自ら否定した、滑稽な芝居に過ぎぬではないかッ」
ひなた「そ・・・それは・・・」
湊「否と申すなら、心より誓って断言してみせよ!今のそなたが、真の大垣ひなたであるとなッ!」
ひなた「い・・・今の、わたくしが・・・」
湊「声が小さいぞォ?ああんっ?」
ひなた「・・・どうしろと仰るんですの」
湊「どうもこうもあるまい!我は今のそなたを否定するのみ!!!」
ひなた「ぐすっ・・・、そんなこと、言われても・・・」
「もう、わからないです・・・わからない・・・」
「ひなたっ、自分がどんな人なのか!分かんないもんっ!」
湊「しょうがない人ですね・・・ひなたさんは」
きっとこの人は、小さい頃から演技ばかりしていて、それが日常だったから・・・混乱しているのだろう。
だから、いつも側で見つめていた僕には簡単な・・・当たり前のことが分からない。
ひなた「お嬢様が、違うなら・・・ひなたって、どんな人?魔界将軍は・・・嘘だもん・・・お芝居なんだもん・・・」
湊「そうですね・・・どっちも、本物のひなたさんじゃありません」
ひなた「全然っ、わかんないよぉ・・・!助けて・・・、からっぽなの・・・見つからないのっ・・・」
湊「・・・そこに、いるじゃないですか」
ひなた「ぐすっ・・・えぐっ・・・、ふぇ・・・え・・・?」
湊「今そこで、泣いているあなたが、本物じゃないですか」
「泣き虫で、甘えん坊で、子供っぽくて・・・」
「自分が分からなくて、悩んで、迷走ばかりしていて・・・」
「そんな・・・邪気眼使いじゃなくても中二病の、迷子の女の子」
「今のあなたが、ボクの好きになった人・・・ひなたさんです」
ひなた「・・・今の、ひなた」
「ぁ・・・あぅあ・・・、な、なんか、恥ずかしい・・・」
湊「誰だって、ちょっぴり演技をしながら生きています」
「きっとそれは、裸の心にまとうお洋服みたいなものです」
「だから、ちゃんと本当の自分を見つけたら・・・、お気に入りの服を着てもいいんじゃないでしょうか?」
「それが好きなら、いつまでも子供服を着ていてもいいじゃないですか」
「気に入らない、似合わない演技をずっと続けることはありませんよ」
ひなた「だけど、そんなの・・・みっともないのだ」
湊「はい。だから、TPOに合わせて着替えましょう。大人なんて、きっとそんなものですよ」
「いつも、同じ自分でいる必要なんて、どこにもありません」
「だから、ひなたさん・・・。今はボクと同じ服を着て、遊んでくれませんか?」
・・・
湊「フハハハッ!!さあ選ぶがよい、偽りの姿をっ!我は来る者を拒まぬ!去る者を追うこともせぬッ!」
ひなた「くすっ・・・お姉さま、めんどくさい人なのだ」
湊「ククク・・・自己紹介かな、それは?」
ひなた「だよねぇ・・・?理解されない自分、最高だよ・・・」
「でも・・・だからこそ。一緒に遊べる人と出会えるのは、本当の奇跡みたいで」
ひなた「クク、お姉様・・・否、魔王様よ。きっと、我らの歩む道は黒歴史となるのだぞ?」
湊「フッ、そなたと共に歩めるなら、望むところである」
ひなた「左様か、ククク・・・ならばよかろうっ!」
湊「フハハハ・・・!征くぞ、我が覇道を・・・!我にはそなたの力が必要だ!」
ひなた「魔王様に忠誠を・・・!この東方将軍に委細お任せあれ!」
湊「否!ただの忠誠など我は求めぬ!身も心も、そなたの全てを我に捧げるのだ・・・!」
ひなた「ふぇっ・・・?ま、魔王様・・・?」
「あの、あの・・・それって、プロポーズなのだ?」
湊「・・・さ、左様っ!返事をするがよい!」
ひなた「え、えっと・・・あの・・・」
「えへ・・・魔王様に、生涯の忠誠を・・・!」
湊「・・・よろしく頼みます、東方将軍」
ひなた「うんっ♪」
こんなおかしなプロポーズは、そうそう無いと思う。
でも、これでいい。僕たちは──これでいい。
いつか二人の間に子供が出来て、プロポーズの言葉を聞かれたら・・・きっと揃って枕に顔を埋めてバタバタするのだろう。
だけど、僕らの黒歴史は──大切なものだから。
ひなた「魔王様、大好き・・・なのだっ♪」
・・・
さいっっこうだああああああああああああああああああああ
いや、最高じゃないですか?
正直最後の展開は読めていたところではあります。
ハッキリ言って予想通り。
でもそれがすとーんと落ちてくる、いいエンディングでした・・・
特に読み解くのに難しい部分は無かったと思います。
もうその通りなんですよ。
ひなたの本当の問題は「自分がない」こと。
その答えは湊はもちろんですが、プレイした皆さんもわかっていたことではないでしょうか。
「泣き虫で、甘えん坊で、子供っぽくて・・・」
「自分が分からなくて、悩んで、迷走ばかりしていて・・・」
「そんな・・・邪気眼使いじゃなくても中二病の、迷子の女の子」
「今のあなたが、ボクの好きになった人・・・ひなたさんです」
私は特に泣き虫で甘えん坊で子供っぽいってところが本当にひなたの好きなところなんですよね・・・
共通ルートでみた甘えん坊のひなたさん、本当に可愛かった。
このシナリオを作った人が「ひなた」というキャラクターを愛していることが伝わってくるようで私は感動してしまいました。
本当の自分を見つけたなら、場合に応じて自分の思うように振る舞えばいいと。
成長するとは、大人になるというのは多分そういうこと。
それこそが本当にひなたというキャラクターの将来を見出した結論ではないでしょうか。
そしてなぜここまでの大舞台を用意したのか。
一つはひなたの心を揺さぶること、二つは普段できないような口調で深く入りこんで振る舞えるように、三つは一生この黒歴史に付き合う覚悟の表れだと思います。
今までは少し乗り気ではあったもののひなたの設定に合わせていたのですが、今回は本当の意味で初めて湊が作った設定なんですよ。
それこそが本当に中二病についていくという覚悟を示すことになるでしょう。
なぜ中二病の女の子でなくてはならないのか、そんなもの本人の言う通り我が儘でしかありません。
中二病の女の子を好きになったから。
しかし、そこで相手のことを思いやった解決策まで見出だし、自分自身が中二病の世界を作り込むことで「孤独は嫌だ」と言っているひなたに寄り添う人間になると、自分自身を投げ売ってでも訴えかけているわけですね。
王道とテンプレって違うと思うんですよ。
今までに見たことあるようなシナリオでもしっかりとキャラの関係性や感情的な部分をしっかりと作りこむのが王道、今まであったものを張り付けていくのがテンプレじゃないかなーって私は思ってます。
初心者視点の意見ですが、エロゲ―ってシナリオが今までにない新規性が割と重要視されてるなーと個人的にはおもっています、しかし、目新しいシナリオでもキャラクターの感情をおざなりにしてしまうとただシチュエーションで楽しんでるだけでヒロインの魅力に気が付けなくなることもあるのではないでしょうか。
もちろん今までにない革新的なシナリオを生み出していくのがエロゲ―の良いところではあると数少ないプレイ作品からそう思っているのですが、ヒロインとどんな恋をして、どんな人間模様が見えるのかというのも大切だと思っています。特に私はその部分がないとあまり評価が上がらないと思います。あくまで個人的な感想ですが。
ひなたちゃんルートの考察はここまでとさせていただきます。
個人的にもう少し好きなポイントをちょっとあげさせてもらうと共通ルートの下のシーンですね。
ひなたというキャラクターの太陽のような温かさが出てくる良いシーンだったと思います。
確か風莉さんと微妙な雰囲気になってるときにひなたちゃんが手を握ってくれた時だったかと。
ひなたちゃんはシナリオ展開こそ王道でしたがそれが枠にハマっていて、求めていたところに落ち着いたという印象でした。
語れることはもっともっとあるのですが、今回の記事はここまでとさせていただきます。
また次回の記事も見ていただけると嬉しいです。
↓他ルート
オトメ*ドメイン 感想 考察 貴船柚子編part1 - lowhigh物のゲーム見聞録